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つづき

 食事のあと義姉さんと翔はリビングでさっそく図鑑を開いている。僕と兄さんはダイニングテーブルの上で、晩酌を継続中だ。 「こんな年の瀬に押しかけて、義姉さんにも申し訳なかったです」 「いや、いいんだ。クリスマスは忙しかったんだろう?クリスマスに暇だったら、そっちのほうが心配だ」  僕は毎年24日か25日に兄の所にお邪魔してクリスマスをしていました。兄的には僕から「今年は彼女と過ごすので」という断りを引きだすために始めた試みだったようですが、毎年律儀にやってくる僕を見て、ため息をついて笑顔で迎えてくれる。  そりゃ僕だって「申し訳ない、今年は彼女と」なんて言ってみたいですが、これがなかなかの難関です。最近は突破できる気がしません。 「クリスマスで一山越えましたが、大晦日のオードブルがありますからね。営業は29日で終わりですが、クリスマス以上に殺気立つでしょうね。厨房チームが大変そうです。年内最後の月曜は必要な休みですね」 「繁盛は何よりだが、なかなか気が抜けないな」 「大晦日の引き渡しが終わるまでは頑張らなくちゃ」 「大晦日は何時頃来れる?」 「どうかな、引き取りのお客さん次第ですね。13:00以降の引き渡しですが、仕事の人もいるでしょうし、できれば厨房チームは帰ってもらって最後まで残ろうかと。だから時間はなんとも。当日電話します」 「そうだな。大晦日は翔の夜更かし日だから、遅いくらいの到着が丁度いいかもしれないぞ?散々纏わりつかれるだろうから」  子供の頃の大晦日、何時まで起きててもいいよと言われる唯一の日。僕は小学生の頃夜8:00に寝るのが約束事でした。兄は起きているのにずるいと思ったものです。よく寝たせいで背が伸びたのかもしれないですね。

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