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つづき

「この先どういう未来があるかはわからない。そのうち両親もいなくなる時がくる。そうなってもしタイミングが合えば、ここに住めばいい。二世帯住宅が必ずしも親子である必要はないからな。兄弟だってありだろ?」 「兄さん……」  両親だけではなく、義姉さんができて翔がいる。人数の増えた家族がまた何かを次の世代に伝えていく。  彼女ができないとか、結婚できる気がしない、そういうことではなかったのですね。今ある家族とともに、僕と一緒に歩んでくれる人を待とう。現れてくれなくてもそれは仕方がないこと。現れなくても僕には「家族」がいるし、翔に伝えてあげられるものだってあるはずだ。  気持ちが楽になって暖かくなりました。 「今決めろってことじゃないさ。先は長い」 「これからもちょくちょくお邪魔します」  兄は何を言ってるんだという顔をした。 「ここはお前の家だろう。自由に出入りしていいんだから、もっと顔をだせ。翔も喜ぶ」 「はい」  目をキラキラさせて図鑑に顔をくっつけている翔を見ながら思いました。クリスマスは日付の問題じゃないですね。家族と繋がっている事を実感する、大切な日。  来年の月曜日は何日かわからないけれど、僕のクリスマスは毎年日付が変わる。  僕だけのクリスマス。  兄さん……傍にいてくれる人が現れたら一緒にここに来ます。

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