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つづき

それぞれがもくもくと働き時間は13:00を回った。朝の8:00からずっと作業をしているし、そろそろ休憩と何かお腹にいれなくちゃ。 「サトル~悪いけど、弁当とかカップメンでもいいし、適当にみつくろって買ってきてくんない?何か作ってる場合じゃないのよ」 手をいっさい止めることなくミネが声を張り上げる。まあ、そうだよね。これで何か食べるものがでてきたら驚きだよ。 「ミネさん!僕簡単な食べる物作ってきたんで、それつまみませんか?」 「ハル?」 正明は冷蔵庫からビニール袋を取り出した。 ラップに包んであるものをテキパキと皿に並べはじめる。 「理さん、コーヒーお願いしていいですか?」 「お、おう」 正明はホールの一番大きいテーブルに皿を並べて、タッパーの中身を小ぶりの器に盛り込んだ。俺はコーヒーをそれぞれのマグに注ぐ。あれ、ミネのマグが変わっている。 皿にのっているのはフランスパン。縦に2列切れ目がはいって、トマトやレタス、白いのはツナマヨかな?それがたっぷり挟みこんである。一人分が短めのフランスパン半分くらいの長さ、これは食べごたえがありそう。 器に盛られたのはサラダ?コールスローかな。ケンタッキー以外で食べたことないし、衛が作ってくれたことのないメニューだ。 「ミネさん、飯塚さん、食べましょう~」 正明の一声で厨房チームがホールにでてきた。ミネのびっくり顔、久しぶりにみたかもしれない。 「ハル?これ……」 「朝、作りました。パクパク食べられるものがいいと思って。おにぎりより野菜が食べられます。かわいいサンドイッチ的なのは無理なので、豪快路線を目指しました」 「イヤ~すこぶる予想外!この間から俺を感動させまくりだね、ハル」 感動?二人に何か変化でもあったのだろうか。 「それとこれ領収書です。パンとツナ缶、あとトマトとレタスにカット野菜の分です」 「いつの間にこんなデキル子になったんだ!ハル!」 ミネは正明をギュウギュウしながら嬉しそうに笑っている。正明はそこから逃れようとモガイているのだが、ミネはまったく意に介せずだ。ほっておこう。 正明作の「豪快路線パン」はすこぶる旨かった。

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