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<2月14日> ヤサ男の決意

 なんてことのない日曜日。 日曜日は唯一飯塚の顔をみない日だった。でもそれは一日をやり過ごしたら翌日には「おはよう」の挨拶とともに男前を拝めたから苦にならなかっただけだ。  飯塚が仕事を辞めると決めた時から、お互いの部屋を行き来する時間は大幅に減った。でも月曜から金曜の5日間、俺はアイツと一緒にいられたから大丈夫だったんだ。たった二か月なのに、けっこう参っている自分が情けない。  スーパーに買い出しにいって戻ると玄関ドアの前に白い袋が置いてある。なんだ、これ?人差し指でそっと袋の口を開くと真っ赤な包み。思わず笑いが込み上げる。 「正明か」  ちょうど一年前、同じコンビニの白いビニールに入ったチョコレートをもらったな。あの時と同じように部屋に入って包みを開けると、クランキーチョコ20枚入りの箱がでてきた。  俺は本格的に大笑いしながらポストイットをはがす。 『これに懲りずに、たまには店に食べに来てください』  なんだかジワっときた。少しへこんだ俺の気持ちが持ち上がる。正明は俺をひっぱりあげる天才だ。  それに比べて、飯塚は。あいつのヘタレにつきあっていたらいつになっても埒があかない。課長がベタ惚れだっていうなら間違いない!だったら俺がなんとかするしかないだろう?  今日の情熱大陸は誰かな、そんなことを考えながらTVの番組表を見ていたら電話がなった。 『悪いけど……これから行ってもいいか?』  悪いけどなんて言っている時点で挙動不審だろ、お前。 「いいよ」  切れた電話をベットの上に放り投げて、さてどうしたものかと考える。正気をなくした男前がバレンタイデーの日、翌日出勤の俺を訪ねてくる。それもこんな遅い時間に。 『好きになった相手は意地でも口説く』  たしかそう言ったな、アイツは。では課長の言うことを確かめましょうか。いずれにしても何らかの結論がでるだろう、その方が今よりずっとマシだ。  なんだか妙に落ち着いている自分にびっくりだ。

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