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夏の風物詩 | 幼馴染
俺は自分の見たものしか信じない。
見えないものは信じない。
だから平気だ。こんなの何ともない。
ただの作り物だって母さんも言ってた。
「あーっ、もう始まるー!電気消すよお」
「電気消すのはまだ早いんじゃ…」
「明るいと面白くないもん」
パチンという音と共に、一瞬にして真っ暗になる室内。唯一の光源はテレビ台の上にある子供部屋に置くにはいささか大きい薄型テレビだ。
部屋の電気を消した有紀は暗闇でも迷う事なく、俺の居る布団までとてとてと戻ってくると嬉しそうに布団の中に潜り込んだ。
賑やかなCMが終わり、突如真っ暗になった画面から少しの間をおいて静かに現れたのは赤い文字。それもただの赤じゃない。よく言えば落ち着いた赤色、悪く言えば気味の悪い血の色。
まるで直接人が筆で壁に字を書くようなそれは、重力に従って液だまりが下へ落ちていく。
す、す、と記されたのは「実録」
下の段へ移行して次に現れたのは――
「ぼく、ずーっとたのしみにしてたんだあ」
語尾に音符マークがついているであろう台詞には不似合いなほど、おどろおどろしい文字で画面に表示されていたのは「怪奇現象」の四文字だった。
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