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「正解。さすが佳威。無駄に付き合いが長いだけのことはあるね」
「無駄には余計だっつの」
マシュマロだと分かって興味をなくしたのか、途端につまらなさそうな顔をする佳威。
「ケーイチのお返しって毎年マシュマロなんだ?」
「そうだよ。佳威と同じで芸がないんだ」
「うっせえ」
ということは佳威も毎年お供え物はクッキーということになる。
俺からしてみればお返しできる相手がいていいですね!全く!はいはい羨まし!という感じなんだが。
「まあ佳威は要らないって言うと思ったし、一個しか残って無いんだけどね。はい睦人」
「おー、ありがとう!」
渡されたマシュマロは黄色やピンクの淡いパステルカラーで女の子が喜びそうな簡易ラッピングが施されてある。裏に賞味期限や原材料のシールが貼ってあることから市販品だと分かるが、乙女心をよく分かってらっしゃる。
「でもまたなんで毎年マシュマロ?なんか意味あるのか?」
ふとした疑問を口にすると、空になった紙袋を綺麗に折り畳みながらケーイチは「んー」と考える素振りを見せる。
「睦人、マシュマロを返す意味、知ってる?」
もちろん知るわけがないので首を傾げると、ケーイチは小さく折り畳んだ紙袋を途中のゴミ箱に捨てた。
「知らないならいいや。ホワイトデーと言えばマシュマロかなって思って。…あ、睦人には関係ないからね」
にこりと微笑むケーイチ。余計に謎が深まる俺の横で、黙って聞いていた佳威が「こっわ」と呟くのが聞こえた。
そして、自宅に帰って「ホワイトデー マシュマロ 意味」と検索した俺の背筋が冷えるのは、この数時間後の話だったりする。
end.
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