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「ほ、ほんと大したことじゃないんだってば!ご馳走様でした!……てかさ!あれだよな。佳威みたいな奴が相手なら、番になるΩの子は幸せだよな」 「…あぁ?なんだいきなり」 どうせ同じ場所に返すのだからと、食べ終えた佳威の食器を自分のトレイに移しトレイも重ねながら、何か話を逸らせる手はないかとふと思った事を口に出した。 「だって大切にしてくれそうじゃん!Ωしか恋愛対象にならないなら、Ω自体めっちゃ数少ないし佳威はフェロモンに好き嫌いあるし、多分滅多なことじゃ浮気しないだろ」 「はあ。まあ、確かにそっちの心配はねえだろうけど」 「男前で浮気もしないαなんて最高だろ。どんな子が佳威の相手になるんだろうなあ。やっぱ可愛くて肉付きのいい安産型な子とか?」 αの子孫を残して行くことに重点を置いていると言っていた光田家だ。元気な子供を埋めることはとても大切な筈。 だから何となく思い浮かべた人物像を言ってみたが、流れで何となく自分の事も顧みてみる。 子供、だなんてまだまだ先の話だが、俺ももしかしたらいつか大切だと思える人に出会えることができるかもしれない。 そうなれば、いずれは子供のいる未来も訪れるわけで。もちろん万が一の可能性として自分が父親になることも考えられるが、どう足掻いたって俺はΩ。高い可能性で子を授かるのは俺だ。 ――と考えると…俺やっぱり貧弱? 安産型という単語を使ってみて思うが、自分はお尻も小さく薄いしよく言う安産体型とは程遠い。果たして将来ちゃんと子供が産めるんだろうか…、全くもって想像できない。 「別に…肉付きいいとか安産型だとか、好きになったらそんなん関係ねえよ」 自分の台詞に勝手に不安になっていると、佳威の低い声がゆっくりと響いた。 見ると佳威は自分のコップに少しだけ水を足して、口に運んでいるところだった。 「…でも、佳威ちょっと肉付いてる子の方が好きなんだろ?」 「理想はな。理想はあくまで理想だ。実際好きになる相手がそうとは限らねえし、もしかしたら全く正反対の奴に惹かれるかも知んねえだろ?」 「………なんか考え方が俺より大人な気がする」

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