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きょうはなんのひ | 有紀
「リクー、今日はなんの日でしょぉ?」
「……平日」
嬉しそうに目をぱちくりさせながら問われた質問に、一応少し考えてみたが全く思い付かないので至極真っ当な答えを当てがう。
雑誌を物色する俺の横でイケメンオシャレボーイ…もとい有紀が、俺の素っ気ない返事に分かりやすく頬を膨らませた。
「え~なにそれなにそれ。つまんなぁい」
「だって、お前の誕生日でも俺の誕生日でも無いし、ましてや渥のでもないだろ?」
「なんで渥の話まで出てくんのー!」
学校帰りに寄った書店で、雑誌を手に取りながら思い付く記念日を挙げるとぷんすこと怒られた。
その様子に周りの目が有紀に注がれる。騒いでるから注目されてるというより、有紀の見た目と明らかにαだと分かる雰囲気に目を奪われていると言った方が正しいかも知れない。
そして、差し詰め俺は派手なモデルの引き立て役、と言ったところか。別にいいけど。
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