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V.D & W.D | ケーイチ
(Twitterにあげた小ネタを元に。続きのホワイトデーも。CP感はありません)
来たる2月14日。
共学ならば避けては通れない道がある。
どう頑張っても目を背けられない。
現実を突き付けられる恐怖の一日。
「すごいな、チョコの数。何個あるんだ?」
「数えてねえよ。誰がどれくれたのかも全然分かんねえし断っても気付くと供え物みてえに置かれてんだ」
佳威は仏様か何かなのか?机の端に重ねられるように置かれた可愛らしい包装紙に包まれた箱や小さな包みに目を向けて、これから帰宅できるというのに凄まじい疲労感に襲われる。
「今年も大収穫だね。モテる男はつらいね」
ケーイチは見慣れているのか、いつものことだと笑う。
机の両脇に吊り下げられた紙袋の中にもチョコらしきものが大量に入っているのを見て、アホみたいな顔をしている俺のことを笑ったのではないと思いたい。
「喧嘩売ってんのか。つかお前だってそうだろ」
面倒臭そうに溜息をついた佳威が、積み重ねられたチョコをさらに積み重ねて机の端に寄せる。自分のスペースを作りたいのは分かるがそんなぞんざいに扱うなんて…!なんと罪深い。
信じられない気持ちのまま、話の矛先はケーイチへと向かった。
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