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第八章 5

『ほら、俺のくわえるみたいに指をしゃぶれよ』  涼正の頭の中の鷹斗が涼正へと指示を出す。  ――鷹斗は、こんなこと言わなかった……。  涼正が一度だけ二人と身体を重ねたあの夜も、鷹斗と政臣はこんな台詞を口にしなかった。これは、幻だ。そう思うのに、涼正は逆らう事が出来ない。  まるで重力に逆らうことなく物が落下していくように、涼正の指も自身の口許へと移動する。  薄く開いた唇から、物欲しげに赤い舌が覗く。擽るように指の腹が唇を撫で、咥内へと侵入を果たした。 「ん、む……、んん……っ」  ちゅぷ、と卑猥な音を立てながら涼正の指が自身の咥内を侵す。  涼正は唾液を塗りたくるように舌を絡め、指の一本一本を丁寧に嘗めた。  時折歯を立てながら、味などしないその指を飴をしゃぶるように美味そうに嘗める涼正の姿は堪らなく淫猥で、もし鏡がこの場にあったならば自身の淫らな姿に涼正は顔を青くしていたかもしれない。 「んんっ、……んっ、は……ぁ……」  咥内をまさぐる指を二本に増やし、上顎を撫で歯列を辿る。指のせいで閉じきれない涼正の唇の端からは唾液がトロリと糸を引いて落ちていった。 「っふ……ぁ……」  唾液で濡れそぼった指を口から離すと、涼正はゆっくりとそれを後孔へと宛がった。  期待に胸が鳴り、喉がヒクリと震えた。ここで得られる快感を二度の情交によって知ってしまった涼正が甘美な誘惑に勝てるはずがなかった。  くちっ、と濡れた指先が先ほどよりもスムーズに中に潜り込んでくるが、まだきつい。  涼正は今度は自身の雄の鈴口からとめどなく溢れる先走りを指先で掬い取り、孔の縁に塗りたくった。  ヌルヌル、と尻の狭間を指が行き来する。  最初は浅く突き入れ、先走りを掬ってはそこに塗り込めるを根気強く繰り返すと、しだいに解れてきたのか。ヌプッ、と音を立て涼正の指一本分が漸く中に侵入した。 「ん、んん……っ、あ……」  異物感がないわけではないが、ここに呼吸が止まってしまいそうなほど感じる一点があることを身をもって知っている涼正は無視して孔内を探った。  指先で肉壁を掻き分け、押し拓く。  柔らかく、熱く、うねるそこは男を受け入れ誘う性器と成り果てている。  鉤型に曲げた指先が小指の先程のしこりに触れた瞬間、涼正は目を剥いて叫声を喉から迸らせていた。 「ん、あぁぁあッ!!」  ビクビクと身体がのたうち、心臓が破れそうな程に脈打つ。  ハッ、ハッ、と荒い息を溢しながら涼正は達していた。  涼正のペニスから噴き上がった白濁は服を捲りあげた腹部へと飛び散り白い地図を描き、徐々に勢いをなくして今はトロトロと溢れ落ちて叢を濡らしている。  しかし、火がついた涼正は一度の絶頂で治まる筈がなく。ゆっくりと孔内に埋めた指を前後に動かし始めた。  きつく指に絡む肉壁を指の腹で撫でながら進み、根本まで入れると奥をかき混ぜるように。引き抜く時は態とゆっくりと引き抜き、爪先でしこりを軽く引っ掻くように動かすと、イったばかりだというのに涼正のペニスはすぐに芯を持ち始めた。  芯を得たそこを涼正が白濁に塗れた手で上下に扱くと、鈴口から白く濁った蜜がトロリと溢れる。  後孔にグチュ、グチュと卑猥な音を立てながら指の:抽挿(ちゅうそう)を繰り返し、敏感に赤く熟れた亀頭を親指の腹で丁寧に撫でた。  あ、あぁ、と言葉にならない短い喘ぎを絶えず唇から溢しながら、涼正は脚を突っ張らせ快楽にうち震える。  ――気持、ち……いい……。  今はそれだけしか考えられない。思考を放棄し、ただ快感のみを追い求め高みへと登るために涼正は手を動かす。  どちらから聞こえているのかわからないほどグチャ、グチャと湿った音がした。  性器に絡む指の動きが速まり、肉筒(にくとう)を蹂躙する指も涼正にとって好い場所ばかりを狙い、押し上げるように突いていく。  仰け反った喉からヒュウ、と空気の漏れるような音を出しながら涼正の太股が震えた。  ――――あぁ、もう……。 「い、く……ぅああぁぁあ――――ッ!!」  ビクン、と涼正の身体がソファの上で大きくしなった瞬間、涼正は二度目の絶頂に達していた。

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