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第五章 14

 悲鳴に近い喘ぎは、すべて政臣の唇に呑まれていった。  ぼんやりとした涼正の視界の中で、鷹斗がジーンズの前をくつろげ、自身の性器を取り出すのが見える。鷹斗の太く雄々しいそれは既に堅く育ち、血管が浮き出たようなフォルムは同じ男の涼正でも少々グロテスクに感じられた。  鷹斗が自身のペニスを涼正に見せつけるように二、三回軽く扱く。それだけで準備が整ったのか。その直後、肌が焼けてしまいそうなほどの熱を帯びたソレが後ろに宛がわれるのを感じた。  期待するかのように、ヒクリとが後孔が収縮する。膝裏に手を差し込まれ、片足を持ち上げられた涼正の耳元で鷹斗が余裕がない声で告げた。 「……もういいだろ? 突っ込むぞ」  先ほど涼正が目にした鷹斗ペニスの先端が、ぐちっ、と淫猥な音を立てながら入り口を撫でる。ヌルヌルと滑る体液を塗り込むような動きに、涼正は息を乱した。  政臣の唇で塞がれた口で何とか酸素を取り込もうとするが上手くいかず、意識が白む。それに気付いたのか、政臣が唇を離しながら鷹斗の方を振り返った。 「鷹斗、ゆっくり入れろよ?」 「わかってるって」  不機嫌そうな鷹斗の声が聞こえ、グッと腰が押し進められた。 「う、ぐっ……ひ、ぁぁあ……っ!!」  太い部分が入り口をギリギリまで引き伸ばし入ってくる。指で慣らされ解れていたとはいえ、鷹斗のものは当然指よりも太く、涼正に苦痛をもたらした。  薄れていた圧迫感と異物感が呼び戻され、涼正はボロボロと涙を溢した。子供のように泣きじゃくりながら涼正は、嫌だ、と頭を横に振る。けれども、鷹斗は行為を止めることはなく。憑かれたように更に奥へ押し入ろうと、抵抗をみせる中を抉じ開け、腰を進めた。 「っ、は……キツ……ッ」  色を帯びた囁きが涼正の耳朶に吹き込まれる。  涙で滲んだ視界一杯に、眉を寄せた鷹斗の顔が映りこんだ。切れ長の双眸に隠しきれない欲望が浮かび、艶めいた肌の上を汗が滑っていく。  ――鷹斗が……感じてくれている。  そう思った瞬間、言い様のない感覚がゾクリと涼正の背筋を駆け抜けた。  知らないうちに後ろが収縮し、鷹斗のものをキツく締め付ける。引き絞られるような痛みにも似た感覚に、鷹斗は眉を寄せた。 「っ、ほら、力……抜けよ」 「……っ、無理……出来な……ひ、い……ぁ、っ」  涼正はグシャグシャの顔で頭を振った。  苦痛は好きではないし、意識して出来るのならばとっくにしている。しかし、無意識に体に力が籠ってしまうからこそ、自分も困っていたのだ。  まだ、入れられたのは切っ先だけだと言うのに涼正は息も絶え絶えで、見かねた鷹斗が涼正の根元を戒めていた手をゆっくりと動かし始めた。  少し萎えていた涼正のペニスだったが、鷹斗の手であっという間に堅さを取り戻していく。擦られる度にちゃ、にちゃ、と音が鳴り、涼正の興奮を煽った。  再び絶頂間近まで押し上げられていると、それまで涼正の恥態を眺めていた政臣がスラックスの前をくつろげるのが見えた。  鷹斗とは違う形や色だが、太さは同じか。いや、それ以上か。 「涼正、口を開けろ」  体毛を押し分け育った熱杭を、口許に近付けられた。雄臭い匂いに、涼正は頭の芯が痺れる様な感覚を味わっていた。  口でなんてしたくないと思うのに、政臣に顎を掴まれているせいで逃げられない。  ヌルリと蜜の滲む熱い政臣のモノの先端で唇を擦られ、割られる。触れた舌先から、青臭い苦みが広がり涼正はえずきそうになった。その間にも鷹斗のものがゆっくりと涼正の中を穿っていき。後ろに意識をとられている内に、口腔内に政臣の熱が入り込んでしまった。 「ん、むっ……っ、ん……」  顎が外れてしまいそうな程太いソレをゆっくりと前後させられる。閉じきれない口からは、政臣のものから溢れるものと、涼正の唾液が交ざったものが顎を伝い落ちていく。奥まで入れられると堪らなく苦しいのに、鷹斗のペニスが挿入されている後ろが酷くひくついた。  ズルリと口腔から政臣のものが抜け出たタイミングで、鷹斗のモノが涼正の中を一気に穿った。 「ひッ、ぁ……ああ――――ッ!!」  目の前が、スパークしたかのようにチカチカと瞬く。涼正は喉を仰け反らせ二度目の絶頂に達していた。  二度目だというのに、濃い白濁が涼正のモノから噴き上がり、腹部や鷹斗の手を汚した。  達して柔らかくなったそこにやわやわと刺激を送り込むように、白濁に濡れた手を動かしながら鷹斗が囁く。 「動くぜ」  荒い息を整える間もなく、涼正の奥へと入り込んだ鷹斗が動き出し、揺さぶられる。 「ん、ふぁ……っ……ぐ、ぅ」  太い部分まで一気に引き抜かれ、抵抗を楽しむようにゆっくりと元の位置まで埋められると、涼正は泣き出してしまいそうなほど感じて背筋が震えた。際限なく引きずり出される快感に、恐ろしささえ感じる。  ――……怖い……。  自分は何処に向かっているのか?  果たして、本当にこのまま堕ちてしまっていいのだろうか?  忘我の淵にあった意識が快楽の波間でフッと戻ってきて、涼正に疑問を抱かせる。しかし、ヌルリと唇を政臣のモノで擦られ、中に突き入れられた鷹斗の張り出した部分が弱い場所を擦り上げると、あっという間に霧散してしまった。  鷹斗の手の中の涼正は、みるみるうちに堅さを取り戻し先の方から白濁の混じる蜜を吐き出していく。 「っ、は……涼正の中、ヤバイくらい気持ちイイ」  熱に浮かされたような鷹斗の声が、涼正の気持ちを更に昂らせた。  鷹斗の形に馴染んでしまった内壁が、中の熱杭に絡み、蠢く。  ――もう、気持ちがよくて訳がわからない。  何もかもドロドロに溶けきった涼正は、目の前に晒されたままの政臣のペニスに自らしゃぶりついた。

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