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溢れて

「なんて顔してんの(笑)」 「いや、だってこの状況なんですか(汗)」 「もうここは君の家になるんだから何も遠慮しなくていいんだからね?君はもう1人じゃない。まだみんなと会ってないからそんな事言われてもって感じだろうけど、みんな本当に優しくていいやつばっかりだ。」 優しく包み込むように抱きしめながら仁は言う。 「これからみんなで暮らして家族になるんだ」 あぁ、この人は分かっているんだ。俺がなぜシェアハウスに住むのか。その理由。俺自身のことは仲介の人にある程度話していたし、状況も伝えていたからシェアハウスに入居出来るか、断られるんじゃないかと不安に思っていたのだ。 俺の両親はもう既に、他界しているのだ。 大学受験をする時、一浪の時に交通事故で亡くなった。受験を1番応援して見守ってくれていた存在がある日突然居なくなってしまった。そこで俺は強くあれなかった。兄弟もおらず、身寄りもない俺はひたすら1人で孤独と寂しさと闘ったが、一浪の時の結果はもう散々で、それは火を見るより明らかで。でもそこで就職する道は残されていなかった。こんな状態で働くことはできなかった。 二浪目はこんなんじゃダメだと自分を鼓舞して耐えて、耐えて、泣きながら耐えて、心身ともに疲れ切ってやっとの思いで合格することができた。

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