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家族のこと
「うん、せっかくだし俺ももう少し橘くんと話したいな」
「でも初日から泊まるなんて…まだちゃんと契約もしてないですし…」
「大家の俺がいいって言ってるんだから気にするなよ。俺もここから歩いて5分くらいの所に住んでるから何かあったら連絡して。流石に洋服とかはないけどそれ以外は揃ってると思うからさ」
悩む。こんなに仁さんが優しくしてくれるんだから有難く受け取るべきだろうけど…元々住んでた家にちゃんと帰りたい気もするし、早くお墓にも行きたい。うーん。
「ご飯つくってあげるよ」
「泊まります」
夏目さんのその一言で即答した。お腹すいてるんだね(笑)と笑われたけど。俺は全く料理できない訳じゃないけど、人の手作りはココ最近全く食べてないから食べたくなったのだ。
「はは(笑)じゃあ俺は帰るね。書類とかいろいろ必要なもの教えるためにまた明日来るね。じゃあお邪魔しました〜」
そう言って仁さんは出ていった。
俺と夏目さんはリビングに向かったが、俺は仁さんに言い忘れたことがあって、夏目さんに先に行くようにお願いして、仁さんの後を追った。
「仁さん!!」
「あれ、和也くんどうしたの?」
「あの、1つ言い忘れたことがあって…俺の家族のことはシェアハウスの皆さんには黙っててほしいんです。あんまり楽しい話じゃないし、皆さんに気を遣わせちゃうだけですから…だからお願いします」
「そんなこと考えなくていいのに。でも分かったよ、和也くんがその方がいいっていうなら言わない」
「ありがとうございます!」
もう誰にも迷惑をかけたくない。その気持ちが今の俺にとっては一番の気持ちだった。
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