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店長side.

あの日以来変わったことがある。 「あ、テンチョ」 「ん?」 「髪、寝癖ついてる」 「え!?どこ?」 「も〜、直してあげるからこっち来てください」 なんて言われてごく自然に引き寄せられ髪を撫でられたのが始まりで、一昨日はお客様が来店された際に吹き込んだ風に鼻が擽られてくしゃみをした時だ。お客様からオーダーを取り終えた彼が、鼻をすする俺の元へと歩いて来て顔を覗き込んだかと思う、心配そうに眉を下げた。 「大丈夫?」 「え?ああ、大丈夫だよ」 「テンチョ、結構寝相悪いから布団掛けずに寝てるんじゃないスか?」 「…まあ、確かにいい方ではないと思いますが…」 「気をつけなきゃー。風邪引いちゃうよ?」 「………うん、ありがとう」 さらに、まだある。 いつも通り本社への報告をデータ送信した後、裏のドアから外に出ればすぐ横の壁にもたれかかって座り込む彼の姿があった。 俺に気が付くと、寒いのか鼻まで覆っていたマフラーを下げて不満そうな声を上げる。 ‪「テンチョ〜、遅い〜」‬ ‪「…なんで君まだ居るんですか。先帰ってたんじゃ」‬ ‪「最近ここらで引ったくりが頻繁にあるらしいの知らないんスか?しかも女とか弱そうな男ばっか狙ってるっていう」‬ ‪「君、暗に俺のこと弱そうってディスってるよね?」‬ ‪「はいはい、もういいから帰りますよ〜。寒いんだから」‬ 引きずられるように手を引かれ家まで送って帰ってくれる。大切なことだから伝えておくが彼の家は反対方向だ。 わざわざ男の俺を家まで送って「じゃ」とさっさと帰って行く姿を…そういえばここ最近かなりの回数見ている。 結局何が言いたいのかと言うと、だ。 あの日以来、新人くんの彼氏具合が半端ないのである。

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