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「新人くん、シフト希望今日までだから出しといてね」 「ぇあ?マジすか…ヤベェ。全然覚えてねえ。帰りにもっかい言って貰ってもいいスかね?」 いや、自分で覚えとけよ、の言葉を飲み込んでニコリと笑顔を向ける。 「オッケー。ちなみに帰りに出さなかったら来月、土日全部フルで組むからな」 「わぁ~テンチョ鬼畜~」 『すみませえん』 「あー、今伺いまーす」 店内の女性客の声にオーダー用のミニタブレットを持って、俺が出会った中でも群を抜いてイケメンな男が颯爽と歩いて行った。男といっても俺より6つも下の22歳だ。 俺からすれば弟みたいな感覚の彼は、ちょうど3ヶ月前に失恋相手である彼女の紹介で入って来たアルバイトである。 いい人がいると言うから本当に女の子でも紹介してくれるのかと思ったら、まさかの自分の後釜を紹介してくれた。 業務的には大変ありがたい。次また募集かけないとなー、なんて思っていたし仕事のできる彼女の紹介なら信用できると踏んだ。 「テンチョ、ストロベリーケーキ2でーす」 想像通り採用した22歳の新人くんは、仕事はとにかくよく出来た。以前にも飲食店で働いていたらしく流れが分かっているのか飲み込みも早い。 冬限定のイチゴとイチゴ味のピンク色をしたチョコソースが掛かったパンケーキを2つ新人くんに渡すと、交換のように白い四つ折りにされた紙を渡された。 中身は見なくても分かる。 どうせこれはいつもの… 「ID、渡されちゃったんでまた預かっといてください。テンチョにあげてもいいけどね。あそこの3番テーブルのロングの子っス」 「…遠慮しておきます。これ、君のロッカーに入れとくから」 「うぃーす」 俺が会社の先輩に「うぃーす」なんて返事しようものなら抹殺されるぞ。 腰に巻いた黒いエプロンがいやに似合う新人くんの離れていく後ろ姿に思わず真顔になってしまう俺。 チャラい…チャラ過ぎるぞ、新人よ。 そんなんだからゆとり世代は、とか言われちゃうんだぞ。 もうだいたい分かったかとは思うが、彼女が紹介してくれた新人くんは俺が接して来た中でも飛び抜けてイケメンでモテモテでチャラい男だった。

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