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「君って、女の子以外もイケたりするの?」
………イケるわけないでしょう。
女の子に困ってないモテ男くんが。
この耐えられない沈黙が永遠に続いてくれたらと思うほどには、今現在後悔しかない。
ここぞという時に気の利いた台詞が出てこないのは俺の悪い癖だ。
今更自己分析したところでもう遅いのに。
新人くんがぱちぱちと大きな瞳を何度か瞬かせた後、緩やかに目を細めた。
「…余裕です」
ただの年下のイケメン君だと思っていた彼から、男の声がして突然のギャップに軽く心臓が止まりそうになった。
――余裕なの?
「そ、そうですか。ごめん変なこと聞いて!やっぱりイケメンは守備範囲広いね。じゃあ、おつかれさま!」
「おつかれさまでーす」
無理矢理話をまとめてぎこちない笑顔で手を振る。明らかにおかしい俺の態度に彼はそれ以上追求してこずに、ぺこと軽く頭を下げて出て行った。
もう少し「突然なんすか~!もしかしてテンチョ男好きなんすか~」とか「えー、なになに?だれか紹介してくれんですかあ?」とか茶々を入れられると思っていただけに少し拍子抜けだ。
マフラーの所為でどんな表情をしていたのか分からなかったが、正直ホッとした。
完全に一人きりになった部屋で、額を押さえて俯く。
「…馬鹿なのか俺は…」
男も余裕でイケる彼が持っていた俺出演のゲイビ。
自分の質問が自分の首を絞めていることに気付くのはその数分後なわけだが…とりあえず自分の情けなさに本日何度目になるかもわからない溜息を吐 いた。
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