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「君すごく格好いいね」 そんな、恋愛に諦めかけていた時。 俺は思い掛けず、また恋をした。 「え…あー、ありがとうございます」 「女の子にモテそうだよね。飲食店での経験あるの?」 その人は白いシャツがよく似合い、決して華やかな顔立ちではないが俺にはまるでキラキラと輝くアイドルみたいに見えた。 出会いは彼が店長を務めるカフェのバイト面接だった。昔から友達として仲の良かった女の子が職場を辞めることになったらしく、代わりとしてちょうど新しいバイトを探していた俺へと白羽の矢が立ったのだ。 「すごく優しくて素敵な人なの、店長。働きやすいしオススメよ」 幸せそうに笑うあいつは大好きな彼氏と結婚するらしい。いいな、俺も好きになった相手と一度でいいから愛を育んでみたい。 ………話は逸れたがそれがキッカケであの人、6歳も年上の店長と出会った。 優しげに笑うあの人の笑顔に、俺の一目惚れだった。 とりあえずまず少しでも店長気に入られたくて、自分で言うのもなんだが持ち前のルックスの良さを活かして女性客の獲得に努めた。 女の子が気軽に何度も足を運びやすいように、真剣な好意を寄せられないように敢えて軽い男を演じる。元々女の子相手にはこんな感じだったのもあるけど、真剣な想いを寄せられるとあとあと面倒だし、お店に迷惑がかかるかもしれない。 それだけは避けたい。あの人に面倒だと思われることだけは何としても阻止しなくてはいけない。ただ強く意識し過ぎた所為で今までよりもかなりのチャラ男設定になってしまったことだけが計算外だ。 頻繁に連絡先を渡されるようになって、それを見兼ねた店長がロッカーに入れてくれるようになったのは嬉しい誤算だった。 あまり自分から話しかけられずに何か話題はないかと色々考えていたところに怪しくない口実。 今までの会話と言えば、話す回数を増やすためにわざわざ休み希望を出すのを店長が困らないギリギリまで伸ばして催促させ、さらにその日の帰りにまた話せるように出すのは帰り際にするという小賢しい手を使っていた。 …まあ今でもこれは使っているんだけど。 これに追加して、貰った連絡先を店長に渡すという口実ができたんだ! 連絡先を貰うたび嬉々として店長に話し掛けた。またか、と笑いながら受け取ってロッカーに行く店長の笑顔を見る為だけに無駄に女の子に愛想を振りまいていた気がする。 そんな日々が続いていたある日。 転機が訪れた。

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