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「もー、店長相変わらず過ぎですよー」 「なに、相変わらず過ぎって。君は変わり過ぎじゃない?入った頃の幸の薄さはどこに行ったんですか」 「ええ?ひどいなあ。あの頃はわたしも前の会社で負った傷が癒えてなかったんですから仕方ないじゃないですか。ねえ、新人くん」 「…なぁんで、お前まで新人くんって呼ぶのかな〜?」 ジョッキに並々と注がれた生ビールを両手で持った女の子が、目の前でピンクの頬を綻ばせる。久しぶりに見る顔に懐かしさが込み上げた。随分と幸せそうに笑うようになったじゃないか。 「旦那さんとはうまくいってるんだ」 「もちろんです!今は式場を決めたりしてるところで…あっ、ドレスって何色が似合うと思います?」 「…うーん。幸せそうだし、黄色とかでいいんじゃない?淡いパステル系の」 「幸せそうだしってなんですか〜適当だなあ」 彼女が軽やかに笑う。生ビールを飲み込む度に喉がゴクゴクと上下に嚥下した。 新人くんに飲みに行きませんかなどとお誘いを受けたものだから、遂に核心に迫ってくるつもりなのか…!と動悸を感じていたのに、いざ居酒屋に足を運んでみるとそこには数ヶ月前に辞めた彼女が笑顔で座っていた。 「あいつが久々に会いたいって言ってたんでえ…セッティングしましたあ」 なんて緩い口調で伝えられたが…これはこれで良かったのか。俺の隣に新人くんが座って彼女と同じ生ビールを飲んでいる。 彼と居酒屋に行くのはこれで2回目だ。1回目は彼の歓迎会で、あの時は店の近くのオシャレな店にした。人数の多い職場ではないが席も遠く皆でワイワイした記憶しかない。 こうして至近距離に腰を落としてじっくり話をするのは初めてだ。 今日も今日とて放つ輝きが凄い。彼の引き立て役のように隣に座る俺だが霞んでないか?大丈夫?まだ存在してる? いつも通りの眩いほどのイケメンオーラを振り撒いてはいるが、喋っているのは俺と彼女がメインで、新人くんは基本聞く側に徹しているのかたまに会話に混ざってくるスタンスだ。 普段お店では女性客相手にペラペラと嘘か真か分からないような言葉を巧みに操っているのに。今日の彼は大人しく静かに俺の隣に座っている。 そして気のせいかも知れないが――目が合わない。 俺なんかしたかな?やっぱりAV出演がバレてて引いてる?「テンチョ、マジないわ〜」って?…飲みに誘って来といてそれはないか。そもそもバレてたらとっくの昔にネタにされてるだろうし。じゃあ、何故だ。 最早癖になっているといっても過言ではない脳内でハイスピードで行われる自問自答。いつも大抵答えは出ない。 「そういえば…店長〜新人くんいい子だったでしょう?」

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