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「あんな好き勝手されて…映像にまで残って…俺が一体何を!」 まだ酔ってるみたいだ。店長って酔うと少し子供みたいになる。職場ではキビキビ働く様子しか見てなかったから新鮮で、新たな一面を知ることができたことに感動を覚える。 家の中は店長の匂いでいっぱいだった。一人暮らしが長いのか生活感に溢れてる。オシャレなカフェで働く感性のせいか部屋の中もナチュラルテイストで暖かみを感じるし、センスがいい。さすが店長。 俺はというと、好きな人と同じ部屋、密室な状況に胸がときめくと同時に、凄まじい緊張感に襲われていた。どういう展開なの、これ。 あーあ、あんなに泣いちゃって… 「……そんなに気持ちよかった?男とするの」 目が腫れるのではないかと思うほど泣く店長にここは優しくするべきだと分かっているのに、染み付いたチャラ男キャラが顔を出す。 「気持ちよくなんか…!……」 即座に否定してこようとした店長だったが、言葉が途中で止まる。メキ、とペットボトルが音を立てる程、握る手に力が篭っているみたいだ。ど、どうしたんだろう。 「テンチョー?」 「……俺は男なんかで気持ちよくなんかならない」 「はい?」 男なんか、で? 突然ソファーから立ち上がった店長が、勢い良く俺を振り返る。 強く決意したような表情だが、アルコールのせいで目が据わっている。怖い。なに? 「新人くん」 「な、なんスか」 「試してみないか」 「………なにをでしょう」 「女の子に困らない君なら分かるでしょ!この前男もイケるって言ってたよね?」 こ、これは…!まさかの! 夏のアバンチュール!…冬だけど。 て、いや喜んでる場合じゃない。店長は何バカなことを言ってるんだ。 「テンチョ、やめてくださいよ〜。欲求不満?俺そろそろ帰るんで、しっかり寝て落ち着いてくださぁい」 内心焦りまくりだが、俺は焦れば焦るほどチャラついてしまうらしい。店長から目を逸らして、ソファーから立ち上がろうとした瞬間、覆い被さる黒い影。 「えっ」 浮いた腰はあっという間に再びソファーに沈み込んだ。…店長という体ごと。

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