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大正13年4月1日、快晴
今日、零一様と芳子様がご結婚された
お二人とも、とても綺麗だった
芳子様も優しい方だった。「よろしくお願いします」と零一様の秘密の恋人に頭を下げた
いつもだったら、とっくに僕の家に来ている頃だが、零一様は来なかった。
初夜だ、仕方ない。
……僕は嫉妬しない。
零一様のお父様とお母様が亡くなられた頃、つまり20歳くらいの時だ。
僕らは相変わらず秘密の恋人関係にあった。
しかし、交遊関係が広がり、実質的な当主としての重圧がかかり、息苦しく感じられていた零一様は僕のところではなく、夜な夜なお友達と遊びに出掛けるようになった。
そして、カフェーの女給に手を出したという噂を聞いた。
昼、零一様を見ていると、腹立たしいやら恋しいやら、心の中が波立つ。
そして、夜になると零一様を想い、自慰に耽る。
その繰り返しの日々。
やはり、女の体がいいのか
どうせ律儀に浴衣で待っていても来ない。
ならば、僕も一度くらい外で遊んでやる。
僕は零一様からプレゼントされたスーツを着て、外に出ようとした。
「ミツ、どこに行く」
庭先で待ち焦がれた声に引き留められた。
「スーツを着て、どこに行く」
「……今日は、カフェーには行かれないのですか?」
つい、心にもないことを言ってしまった。
無表情で僕の腕を掴み、引きずるように僕の家に来た。
乱暴に寝台へ僕を叩きつけると、「服を脱ぎなさい」と冷たい声で命令した。
僕は言われるがまま、服を脱いだ。
「そこに四つん這いになって、尻を私に向けなさい」
寝台の上で四つん這いになって、尻を向ける。
いつもは慣らしてからするのに、今日は乾いた状態で一気に挿入された。
あまりの痛さに、僕は叫んでしまった。
その日はかなり荒々しかった
打ち付けられ、擦られる痛み。
イきたいのに、寸でのところで止められ焦らされ、イくことができない苦しみ。
「もう……許して……」
と泣いて懇願しても、許してもらえず、その日は次の日の明け方まで、何度も何度も抱かれた。
解放されたのは、明け方だった。
僕は激しいまぐわいに、半分トんでいた。
零一様はズボンだけ履いて、椅子に腰掛けている。
「私が浮気をしていると思ったのだな」
静かな、怒気を含んだ声。
「どんなに屋敷で噂をされても、お前だけは信じていると思ったのに」
僕は初めて、零一様を裏切ってしまったことに気づいた。
すぐに僕は泣いて謝った。
当主という重圧に耐えきれず、屋敷にいられなかった
その情けない姿を僕に見られたくなかったのだと教えてくれた
「ミツ、心配かけて、すまなかった」
零一様はいつもの優しい顔になっていた。
僕は嫉妬しない
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