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大正15年3月7日、晴れ時々曇り
急に零一様から「食事をしに行こう」と誘われた
高級料亭で、刺身を食べた
それから、夕方頃浅草に行って、映画を見た
暗闇の中、そっと手を繋がれ、僕の胸は高鳴った
その夜、僕の小さな家で、深く繋がる。
果てた後の濃密な時間。
僕を後ろから抱き締めていた零一様は僕の日記をちらりと見た。
「日記、まだ続けてるんだね」
「零が、字の勉強になるからと言ってくれたんですよ」
「覚えてるよ。少しは上手くなったかな」
「絶対見せません」
僕は零一様の頬を軽くつねった。
「それは、残念だな」
零一様は小さく笑って、僕に口づけた。
朝、目を覚ますと零一様がいなくなっていた
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