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春・ポチくんの憂鬱-4

「黒埼君、服は、上のシャツどうしたの」 「あーーーー……知らん」 「ここにはないみたい、もう、ほんと困ったコだな」 「俺の服貸そーか?」 「……大変、不本意ですけど、お願いします」 シンジから優しく追い出された凪は閉ざされたドアにぴったりくっついて三人の会話に必死になって耳を傾けていた。 「んーーーー……やだっ……暑ぃんだよっ」 「寝る前まで寒いって言ってたのに、ほら、早く着て」 「う゛ーーーーーっっ」 「犬みたい、俺も手伝おっか」 「上司の手を借りるほどじゃあないです」 「がぶっっ」 「シンジ、腕、噛みつかれてるけど」 「甘噛みですから、平気です」 がちゃり 「ごめんね、凪君」 近づいてくる足音が聞こえ、ぱっと離れた凪の目の前で寝室の扉は開かれた。 寝とぼけている、裸だった上半身に蜩のシャツを羽織って下はボクサーパンツ一丁の六華を横から支えたシンジは、除け者にされてしょ気ていた凪に笑いかけた。 「もういいよ。入って?」 「えっ?」 「俺と黒埼君はリビングで寝るから。君は寝室で蜩さんを見張っててくれるかな」 「えっと、えっと」 「もしも俺が寝てる間に黒埼君がまた来たら追っ払ってね」 そう言いながらも寝ずの番をする気満々のシンジに再び促されて、凪は、しぶしぶ寝室へ。 「ポチ君、許して?」 ダブルベッドの上、立てた片膝に片頬杖を突いて笑っていた蜩に瑞々しい唇を尖らせた……。 「許してくれた?」 「ぅぅぅ……っ……や、です……蜩さ、ん……っ」 「許してくれなきゃ、イタズラ、続けるから」 「っ……シンジさん、サッキーが……あっち、いるのに……」 羽毛布団の中に引っ張り込まれた凪は寝衣を肌蹴させた蜩の懐に閉じ込められていた。 ネルシャツの内側に忍び込んだ片手、日焼けしていない胸元の先っちょ、うっすらピンクに色づく乳首をやんわり抓られて。 カーゴパンツどころか下着の内側にまでやってきた片手、多感な十代ペニスをゆっくりじっくり愛撫されて。 「んぅぅーーー……っっ」 堪えきれずについ喉奥で鳴いて、慌ててぎゅっと唇を閉じ、涙ぐんだ双眸で肩越しに蜩を非難した。 「こんなこと、やだしっ……許さないし……っぜったい許さないし……っ」 「ふーーーーん」 蜩弁護士でいるときは撫でつけられている前髪が今は当然バッサリ下ろされていた。 捕食者の眼光は和らぐどころか強まる一方で。 嫌がる恋人に滾りっぱなしで。 ぷにぷに抓っていた乳首をキュッと摘まみ上げた。 下着の中で濡れかけているペニス鈴口を親指でグリグリ刺激した。 「ぅ、っ、ぅ、ぅ、ぅ、っ、ぅ」 「そんなやだった? 相手、黒埼君だよ……? ポチ君、仲イイでしょ……?」 寝惚けたサッキーに悪気はなかった、それは十分わかってる、だけど。 「サッキーでも……っ仲良しでも……っ……やです……っ」 不埒な両手にいいように弄ばれて身を捩じらせ、悔しいながらも、涙ぐむ凪は正直に告げた。 「俺以外の誰かと、ベッドにいる蜩さん、見て……っ心臓、止まりそうだった……怖くて、嫌で、悲しかった……っ」 「俺は今心臓止まりそうだよ、ポチ君?」 横向きだった姿勢が急に仰向けに変えられて凪はどきっとした。 真上に迫った蜩に目尻に浮かぶ涙を舐め取られて、悲しいかな、ぺちゃんこな胸を限界まで高鳴らせた。 「そんなに許せないのなら、いいよ、俺のこと許さないでも」 どんどん濡れていく鈴口をグリグリ刺激していた指がより大胆にペニスに絡みつき、上から天辺まで、強めにしごかれた。 まだいくつかボタンが留まったままのネルシャツをヤラシク捲り上げられて、ぷっくり起立していた乳首目掛けてキスされた。 突起がアチコチ傾くくらい舐められながらペニスを過激に愛撫されて凪はブルブル仰け反った。 蜩とベッドの狭間で一生懸命声を押し殺した。 「いいよ、我慢しないで……いってごらん?」 「や……ゃぁ……っだって……だって……っ」 「いいから。ほら」 ちゅぅっっっと容赦なく吸われた乳首。 より加速した利き手。 凪は咄嗟に片手で自分の口元を覆った。 蜩の甲斐甲斐しいご奉仕に感極まって、お腹を波打たせ、びゅくりと果てた……。

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