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春・ポチくんの憂鬱-5
「ポチ君、いつもよりナカ熱いよ……? 向こうにシンジと黒埼君いて、倍、感じてる……? えっちなことしてるのバレちゃうかもしれないって、きもちよくなっちゃってる……?」
もうやだ、やだ、やだ、ほんとやだ。
蜩さん、やだ…………!!!!
「ちが、ぁ……変態ぃ……っひぐらし、さん、へんたい……っ」
高校生の年下恋人に涙ながらに変態呼ばわりされて、蜩は、満更でもなさそうに唇を歪めてみせた。
ボタンが全て外れたネルシャツをかろうじて上半身に引っ掛けた凪を膝上に抱っこし、向かい合った対面座位、肌と肌がくっつく密着体位を欲望のままに味わった。
「は、ぁ……やぁ……っ深ぃ……っ」
嫌々しながらも成す術なく自分にしがみつき、肩の辺りで喘ぎ声を殺している凪に愛しさが止まらない。
腰を掴んで前後に揺さぶれば、あむっっ、噛んできた。
不意討ちに強めに突き上げてみれば「きゅぅンっっっっ」と甘い鳴き声を喉奥に詰まらせた。
「……ポチ君、ほんと、ポチ君」
「っ……また、ばかにしたぁ……っオトナだからって……年上だからって……こんなときでも……っくぅぅぅン……っ」
「ほら、そーいうとこ……」
汗ばみ始めたお尻を掴んで小刻みに揺さぶっては、奥へ向けて激しめにピストン、熱々悶々なナカでオトナペニスを傲慢にしごかせた。
どうしよう。
サッキーもシンジさんもドアの向こうにいるのに。
きもちいい……。
とけちゃいそう……。
「ぁ……っっっ」
密着体位を一頻り満喫した蜩は凪を仰向けにした。
すでに下肢の服は蔑ろにされて露出していた太腿の間に深く割って入り、腰同士をぴったり重ね、激短ストロークで一番奥を連打してきた。
あ、これ、だされる。
蜩さん、いっちゃう。
蜩の絶頂を予感して、さらに全身を火照らせて、どうしても声が我慢できそうにない凪は自分の手首を噛もうとした。
すかさず蜩にキスされた。
甘い鳴き声ごと瑞々しい唇を奪われた。
「んんっ……ン、ン、ン、ン……っ……っ……んーーーーー……っっ……!!」
無慈悲なキスをしながら自分の一番奥で爆ぜた蜩に息を止められるような心地で、凪も、二度目の絶頂へ…………。
「どうもお邪魔しました」
「もうちょっとゆっくりしてってもよかったのに」
「恐れ多いです。正真正銘、お邪魔になりそうだし」
「なーなー、昨日マジでなぎっち鳴いてなかったか? お泊まりホームシックか?」
「幻聴だよ、黒埼君、それじゃあ」
朝早い時間帯、欠伸を連発する六華を連れてシンジは上司宅を去っていった。
目覚めのブラックコーヒー片手に見送った蜩は寝室へ戻った。
まだぐっすり眠っている凪の元へ。
いつにもましてあどけない寝顔にそっとキスを。
許さなくていい、嫌いになってもいい。
「その代わり俺のこと一生忘れちゃだめ、いーね、凪?」
桜の季節に改めて凪への恋心を深める蜩だった。
end
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