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いらっしゃいませ平凡くん-3

いつの間にかやんだ雨。 「雨、やんだみたい」 「あ……っはぁ、ぁ……三神、さ……ん」 「どうする? 帰る?」 三神さんに耳元で問いかけられておれはビクッとしてしまう。 三神さんの綺麗な手は……おれのアレで……よごれていて……。 「ッごめんなさ、い、三神さん……ッ」 「謝らないで。どうする? 由井君?」 初キスでたかぶった体。 集まった熱を解放してくれるみたいに、綺麗な手で、おれのことを優しく慰めてくれた三神さん。 初めて自分以外の手に射精した。 未体験の興奮、引き摺る余韻、ちゃんと呼吸ができないおれは何とか声を振り絞る。 「ッ帰りたくない……です」 三神さんは零れていたおれの涙をタオルで拭って、ずっとシャツを握っていたおれの手をとって。 「あ」 服越しに触れた三神さんの……アレ。 「怖い?」 おれは首をブルブル左右に振った。 恥ずかしいけど、怖くない、三神さんになら何されてもいい。 おれの全部をこの人にあげたい。 この声なに? おれが……出してるの? こんなに……セックスって……すごいの? 「あ……っぁぁ……ふぁ……っ」 ワンルームの壁際に置かれたベッドの上。 とてもじゃないけど向かい合ってするのは恥ずかしくて、おれから希望した……この体勢。 いわゆるバックっていうやつ。 三神さんがおれを抉じ開けてる。 すごい、いっぱい、ナカにはいってきて。 擦られて。 突き上げられて。 声が止まらない。 「はぁっ……はぁっ……あっ……あっ……」 「……大丈夫?」 鼓膜に届いた声、静かになった動き。 シーツに爪を立てて、溜まっていた唾液をごくっと飲み込んで、ほら、答えなきゃ。 「だ……だいじょ、ぉぶ……です」 「ほんとに……?」 痛くないといえばウソ。 だけど。 三神さんがおれのナカにはいってるのかと思うと。 三神さんとセックスしてるのかと考えると。 熱い痛みもすごく恋しくなる。 「ほんとに……だいじょうぶ……」 「……ごめんね、由井君」 どうして謝るんだろうと思った、次の瞬間。 おれは引っ繰り返された。 霞む視界に写り込んだ三神さんはやっぱり綺麗で。 おれは涙でぐちゃぐちゃな顔を両腕で隠す。 こんな顔見せられない。 「やだっ……恥ずかしい、これっ、むりですっ」 「……見せて?」 「……だって……きたない」 「きたなくないから。俺に見せて?」 三神さんにお願いされて、おれは、ぶるぶるする両腕を顔の前から退かした。 「あっっ」 三神さんが上半身を倒して、アレがもっと奥に突き刺さって、こんな、こんなひどい顔やっぱり見せられない……っ。 「いいから。由井君」 「ぅぅ……っふぁ……ぅ」 「俺にちゃんと見せて」 あ。どうしよう。締まる。 三神さんのこと締めちゃう。 「……きつくなった」 「あぅ……っあぅぅっ……ごめんな、さ、っっ」 キスされてちゃんと謝ることができなかった。 ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ、おれの奥で音がして。 さっきよりもいっぱいキスされて。 びくついていたおれのが綺麗な手でゆっくりしごかれた。 「んっ……んっ……んっ」 三神さん、三神さん、三神さん……。 「由井君」 金曜日、バスを降りて帰宅している途中、三神さんとばったり。 朝から今の今まで昨日のことを取り留めもなく思い出してたおれはまっかっかになった。 ギャルソンの格好をした三神さんは黒猫うるしを抱いていた。 よく見たらうるしの赤い首輪には紐がついていた。 「うるしのお散歩中」 三神さんの腕の中で大人しくしているうるし。 「今日、来るよね?」 「あっ……はい」 「待ってるね」 去っていく三神さんとゴロゴロしているうるしを見送った。 いいなぁ、うるし。 カランコロン。そしておれは今日もベルを鳴らす。
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