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raspberryな恋人-6

「ほら~ちゃんと縛らないとお仕置きにならないってば」 「だから……俺、別に……」 「あ~ほら~また解けちゃったよ」 「別に……さっきはむかついたけど、もう……」 「も~じゃあ自分で結んじゃお」 「もう……結婚してないってわかって、とりあえず、ほっとしたっていうか……」 「固結びしちゃお」 升野さん、話、聞いてます? ベッドの上で裸になった藤耶は、出かけた言葉を、はたと飲み込んだ。 同じく裸になった智弘は体育座りとなり、宣言通り自分の両足首をネクタイで縛っていて。 「できました~」 裸の足指をばらばらと動かして智弘はへらりと笑った。 「すごい、こんないっぱい……」 俺、この人に出しちゃってたのか。 ベッドに横向きで寝る智弘の、少しばかり緩んだ後孔に藤耶は指を入れていた。 入れた指をピストンすれば先程放ったばかりの精液が溢れてきた。 ねっとりと横へ垂れていく。 「ひぅ……ん……」 両足首を縛っているので、女の子のように頻りに太腿を擦り合わせて智弘は悶えていた。 あられもない欲望を咥え込んだばかりのそこは中指と人差し指を簡単に奥まで招いた。 湿り気を帯びて傷つく恐れのない肉壁の狭間を二本の指で少々荒くピストンする。 「あぁん……っあ……そこ……」 「……ここがいいの?」 「んっいい……そこ、すごい……」 鈎型に曲げた指で前立腺と思しき場所を執拗に刺激してみる。 ビクビク! 途端に智弘はベッドの上で悶絶した。 大丈夫かな……。 心配しつつも、藤耶は、指を一本追加する。 性的好奇心に打ち勝てずに高速ピストンをやってみる。 「あああっっだめぇっやぁっあんっ」 全身を紅潮させた智弘はもどかしげに悶えてクッションを掻き抱いた。 勃起したペニスの先が小刻みに精液を弾いている。 シーツ、明日洗わなきゃな……。 だから、今日は、思う存分汚してもいいか……。 高速ピストンに手首が疲れて、指をずるりと引き抜くと。 溜まっていた精液が後孔の薄暗がりからとろとろと零れ出た。 「あぁ……はぁ……ぁ……っ」 目に涙まで浮かべた智弘。 初恋さながらに胸がときめき、藤耶は、彼の額をそっと撫でた。 乱れた髪も直してやる。 「ん、あっくん……」 智弘は仰向けになり、肘を突いて藤耶を見上げると、やらしい顔で笑った。 「指じゃなくて、もっとおおきいの、ちょーだい?」 下腹部にて誇張されている藤耶のものを撫でる。 あまり刺激を受けると暴発しそうなので、藤耶は躊躇いがちに彼の手を遠ざけると移動した。 縛られた両足首を持ち上げて、膝を突き、白濁に濡れた後孔へ自身をズプズプと沈めていく。 「あん……あっくんの、きてる……」 大の大人が足首をネクタイで縛って、ペニスをその身に難なく咥え込んで、やらしい表情をしている。 どうしよう、興奮する。 升野さんが自分で自分を縛ったりなんかするからだ。 「んんっ……あっくんの……おっきくなったよ……?」 ああ、そういう台詞は反則です。 藤耶が腰を揺らし始めると智弘は切なげに身を捩った。 シーツにたくさんの皺が刻まれる。 熱く濡れた二人の吐息がワンルームの薄闇に行き交う。 ぎしっぎしっぎしっ 「あ、これ、すごい……」 陶然と洩れる智弘の囁きが興奮に追い討ちをかけた。 閉ざされた足に覆い被さるようにして、藤耶は、ひたすら動いた。 「ねぇ……ねぇっ」 「な……何ですか……っ」 「あっくん……っお縛りプレイ、って、初めて……っ?」 足先の自由をネクタイでちょっと奪っただけの行為がお縛りプレイと果たして言えるのか。 でもまぁ、そういうことにしておこう……。 「初めてです……」 細かな振動を肉伝いに直接与える。 智弘はビクビクと打ち震えながらも、快感で潤んだ目を瞬かせた。 「やったぁ……」 好きな人の「初めて」になれるって、やっぱ、嬉しいよね。 感動モンだよね。 「……」 今度は藤耶が目を瞬かせる番だった。 思わず律動を止めて足の向こうにある智弘の顔を覗き込む。 「ん……どしたの? 何でやめちゃうの?」 「……好きな人って」 「え~? あっくんでしょ? じゃなかったら言うわけないでしょ、このタイミングで」 「……升野さん、遊びで、俺と……じゃないの?」 「えぇぇえ? 遊び?」 「……キス魔だし……俺なんか……」 そりゃあ、酔えば、誰にだって一回はしちゃうけどさ。 同じ相手に二回目のキスはしたことないよ? 大体、居酒屋のバイト君なんか、興味なきゃ覚えないでしょ? 「ねぇ? 阿久津藤耶クン?」 智弘はフルネームで初めて藤耶を呼んだ。 呼ばれて、藤耶は、思った。 ああ、何かもう、今すぐ抱き締めたいです、升野さん。 「てかさ、気づこうよ、さっきの会話でさ~妬いてほしいっつってんのに……て、ん? 何してんの?」 挿入したままネクタイを真剣に解こうとする藤耶に智弘はクスクス笑う。 固結びされているために容易には解けず、しばし、行為は中断。 そして……。 「あ、解けた~お疲れさまぁ……んっ」 苦心して解いたネクタイをベッド下へ放り投げるなり藤耶は智弘に口づけた。 待ってましたと言わんばかりに、智弘も褐色の肩口にしがみつき、締まった脇腹に両足を絡ませる。 中断していた律動を夢中で求め合った。 口元も下肢もしとどに濡らして、卑猥な音色を紡ぎ合った。 「っぁっぁっぁっもっともっと……奥……っ……とおやぁ……」 名前を呼ばれる度に藤耶は滾った。 二つの突起を五指で捏ね回し、ピンと尖らせ、年上の男をもっと敏感にさせていく。 腹部に擦れていた彼のペニスを握り締めて上下に愛撫する。 「あんっぁ……っまたいっちゃうよ、おれ……これ、よすぎ……ぃっ」 「しょ、ぉ、の、さん」 「いいよぉ……藤耶ぁ……」 ああ、気が遠くなりそう。 だけど体は熱くて。 升野さんのナカも熱くて、いとしくて。 ずっとずっとここにいたい……。 「すみませ~ん」 騒がしい店内に響いた、舌足らずな声。 瞬時に聞き分けた藤耶は足早にそのテーブルへと向かう。 会社帰りと思しき三人、その内の一人が、さも甘そうなラズベリーの色に目元を染め上げてお品書きをばさりと広げていた。 「俺ね~これとこれ!」 すぐにでもそばへ行きたいが、バイト先のここでだけは、躊躇する。 公開キスはもういい加減やめましょう、升野さん……。

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