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あのコは一見攻め風あやかし/病弱青年(でも好き者)×化け猫さん
「シャァァァァァァァアア!!」
東西一の暴れ妖怪、化け猫ナベシマは昨日からご機嫌斜めだった。
長い黒髪を風もないのに波打たせ、大きな黒耳を殺気立たせ、長い二股尻尾で雑魚あやかしを弄んでいる。
縦状の瞳孔である銀色の双眸は不愉快、不快感に満ち満ちていて。
配下達はなるべく主人に近づかないよう遠巻きに様子を窺っていた。
「ご主人様はどうしたのだ」
「あれの日か?」
「ばぁか、ゴシュジンたまはどっからどう見たってオスだっちゃ」
「なぁにこそこそしてんだ、ああああ?」
単物を乱してこれでもかと片太腿を露にし、畳に寝そべっていたナベシマは、のっそり起き上がった。
びくびくする配下達を鋭き眼光でねめつけて、暴れ妖怪は。
住処である立派なお屋敷を後にして。
さわさわ揺らぐ竹林を抜け、川を越え。
一人の男が住む平屋を訪れた。
「凛吉、具合はどうだ、こら」
平屋に住む男、凛吉 は、青白くほっそりした、見るからに病弱そうな青年だった。
物書きの彼は日当たりのいい文机で原稿を認めている最中だった。
「ああ……ナベシマさん。どうもこんにちは」
「書いてるってこたぁ、よくなったんだろぉな?」
「ええ、昨日頂いたお薬がよく効いたみたいで……あれ、どこで手に入れたのです?」
「あれか!? あれはな、龍の生き胆と天狗の目玉と鬼人の爪を煎じてつくったのだ!」
「へぇ、すごいですね……わ!?」
畳に押し倒されて凛吉はびっくりした。
原稿がはらはらと宙に舞う。
「昨日から俺様、我慢してるんだぞ、凛吉?」
色素の薄い儚げな眼を瞬かせる凛吉を至近距離で見下ろし、ナベシマは、にんまり笑った。
白昼、開け放たれたままの障子、川辺から届く清らかなる涼風。
畳に雑に敷かれた布団の上で散らかる喘ぎ声。
「あぁぁぁぁん……! そこぉ!! そこがいぃぃい!!」
「ここ……ですか?」
「ひぃぃぃぃっっいぐぅっっぎもぢぃぃぃっっ!!」
長い黒髪を振り乱してナベシマは喘いだ。
着物は緩む帯にぎりぎり引っ掛かった有様で、褐色のなめらかな肌をほぼ曝している。
ゆらゆらする二股尻尾の下では尻穴が勃起しきった肉棒を奥まで食んでいた。
「昨日から我慢していたんですね……すみませんね、ナベシマさん?」
青白い指先を汗ばむ尻たぶにぐっと埋め、病人だったとは思えぬ腰遣いで、凛吉は四つん這いとなったナベシマに平然と話しかける。
「いっていいですよ、ナベシマさん?」
「ぎにゃぁぁぁぁぁあ!! それぇっっいぐいぐぅっっ!! 出ちゃうぅぅぅぅ!!!!」
暴れ妖怪ナベシマは猫耳をぺちゃんと寝せ、突き出した尻をぶるるるっと小刻みに痙攣させて。
これまで無数の別嬪生娘を頂いてきた男根から子種を噴出した。
「あっあっあっあっでてるっぁっっぁっんぁっっとま、ん、なぁいっっ」
ぶるぶる揺れる男根から途方もない量が溢れ出る。
きつくなった尻穴に凛吉は、ちょっと苦しげに眉根を寄せた程度、まだその肉棒は素晴らしい硬度に漲っていた。
尻たぶにさらに指を食い込ませて収縮する肉穴から引き抜いていく。
「凛吉ぃ、まだぁ、もっとぉ」
「ええ、わかってますよ」
ナベシマは凛吉を座らせると足の間に割って入ってきた。
隆々とそそり立つ肉棒に尋常じゃない長さの舌を何重にも巻きつける。
蛇のように鎌首擡げた舌先を鈴口に頻りに擦りつける。
「凛吉のでかまらぁ……んんっんっんっ……んまぁい……」
「間違って、牙、立てないでくださいね?」
「んぁあぁ゛ぁぁあぁ~~…………んにゃぁ゛っっ」
背面側位で奥深くまで我慢汁に塗れた肉棒で貫かれる。
一度達した男根を再び硬くして、ナベシマは、狂ったように甘く鳴く。
「ふぎぃぃぃぃ~~りっ凛吉ぃぃ~~」
凛吉の手が伸びてきてナベシマの男根をしごき始めた。
掌でねっとり激しく執拗に擦られた。
「ふぎゃぁぁぁぁぁあ゛あ゛!!」
「どうです、気持ちいいですか、ナベシマさん?」
「んみゅううう!! いいにゃぁぁあ!! 凛吉のでかまらっっいいいいいい!!」
あの暴れ妖怪が人懐っこい家猫のようにぐるぐるぐるぐる甘えている。
背後から休むことなく突かれて猫耳をパタつかせている。
「ナベシマさん……出しますよ?」
片足をぐいっと直角に持ち上げ、松葉崩しに移行した凛吉、押し開かれた股の間目掛けて一心に腰を律動させた。
肉穴の奥底を突き破りそうな勢いで射精寸前の膨張しまくった亀頭を叩きつける。
肉棒全体に絡みついてくる粘膜を容赦なく摩擦する。
「んにゃあ゛っっまらみるくぅぅぅ!! 俺様の奥まで出してぇぇぇ!! 凛吉のみるくほしぃぃぃぃ゛ぃ゛!!!!」
「子猫みたいです、可愛いですね、ナベシマさん……?」
乱れ、よがる、化け猫妖怪ナベシマに凛吉は微笑みかけた。
「あぁぁんっっりんきちぃぃぃぃっっ!!!!」
壮絶白濁飛沫にナベシマはがくがく仰け反った。
ぶるりと戦慄いた男根から再び射精した。
迸らせ合いながら二人は唇も深く重ねた。
「あのお薬って」
「あ? なんだ?」
「もしかして精力剤の効用もあります?」
散らばっていた原稿をせっせと集める凛吉、そんな彼を布団に寝そべって眺めていたナベシマは、にんまり笑った。
「ない」
「あ……そうですか」
「お前ぇさんは根っからの好色漢だよ、凛吉ぃ?」
そう答えて満足そうに「にゃーご」と鳴いたのである。
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