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女体化した幼馴染みがすぐ元に戻ったけど意外と平気だった。-3
和希の両親は共働きである。
妹は漫画同好会所属で帰りが遅い。
ほとんど家人の者がいない甲原家はシンとしていた。
そんな静寂に響く、バスルームからの水音。
「ふ……」
まだ明るい外を反射して淡く光る曇りガラス。
出しっぱなしの熱いシャワー。
湯に混じる白濁した、滑り。
「ん」
瞬はタイル張りの壁に片手を突いていた。
頭からずぶ濡れになって、唇をぎゅっと結び、和希に植えつけられた熱を解放しようと、片手を頻りに動かしていた。
薄明るいバスルームで濡れた裸身が時折ぴくぴくと頼りなさそうに震える。
今まで何人もの痴漢を魅了した小振りの尻も、ぴくぴく、ぴくぴく。
「いい尻だな」
「うわあっ」
いきなり背後で声がして瞬はぎょっとする。
振り返れば、同じく真っ裸の和希が戸を開いて立っていた。
「おっお前いつからいた!?」
「ん、と声を洩らした時くらいからだ」
「……最悪、この変態」
「他人様の家の浴室でヌく奴の方が変態だと思うが」
中に入ってきた和希が後ろ手で戸を閉めたので、前屈みでいた瞬は、うろたえる。
「出しっぱなしにするな、もったいない」
そう言って和希は蛇口をきゅっと捻ってシャワーを止めた。
前屈みでいる瞬の逃げ場を塞ぐように、彼の背後から、壁に両手を突く。
「な、なんだよ、変態……」
「今まで盲点だったぞ、瞬」
「へ……んぎゃっ」
露出した尻たぶの片方を思いきり鷲掴みにされて瞬は変な声を上げる。
「いい尻だ」
「ばっばかっこの変態……!」
「何だ、さっきも触ってやっただろうが」
「な、生で触られんのは尚更嫌だ!!」
尻を揉む和希の手を退かそうと、瞬がそちらに意識を傾けた隙を狙って。
和希は瞬のペニスに触れた。
「あ」
握って、さする。
「ひゃ……ん」
瞬は鼻から抜けるような情けない声を出した。
濡れた素肌に躊躇なく密着し、和希は、緩々と利き手を上下に動かす。
「う、あ……だめだって」
「どうして駄目なんだ?」
嫌がるように感じていたカリ首を指の輪で擦る。
「だ、だって……もう、俺、女じゃないし」
「そうだな、男の娘のカテゴリーでもないしな」
「……、……とにかく……変じゃん、こんなの……変だろ」
「変でもいいだろう、瞬」
ずっと尻を揉んでいた手も正面に回した。
カウパーでぬるぬるした先っぽを掌で揉みながらしごくと、瞬の背筋は過敏にびくついた。
「何だ、去年の後輩女にされたことなかったのか」
「あるか……っボケっ……ひゃ」
裏筋を集中的に擦り上げると尻まで痙攣した。
その尻に、和希は、自身の熱源を押し当てた。
「えっ」
いきなり肩越しに瞬が振り返ってばちっと目が合う。
嫌悪というより驚きの表情だった。
「……なんで勃ってんの、和希……俺、もう女じゃないぞ?」
「お前がもう女じゃないのは十分に了解している」
カリ首と根元を同時に擦ってみる。
瞬は和希の視線の先で甘い声を上げた。
「あぁ……ん」
やっぱり可愛い。
今まで目にしてきた万物すべてにおいて、ダントツ、可愛い。
どうして今まで気づかなかったのだろう。
「んっ」
和希は瞬にまたキスした。
キスしながら両手で瞬に触れた。
痛くならないよう、力が入り過ぎないよう、ただ気持ちよくなるよう。
「ん……んっんっ」
瞬の口角から二人の唾液が零れ出た。
「かず……き……っ」
唇の狭間からその名も零して。
先っぽを擦り上げていた和希の掌に不意に弾けた、白い滑り。
「は……ぁ……っっ」
タイルにもたれて、内腿を頻りにひくつかせて。
抑えきれない上擦った声を奏でながら。
瞬はびくつくペニスから精液を垂らし続ける。
「あ……!」
仕舞いにはがくりと膝を折ってマットの上に崩れ落ちてしまった。
滅多なことでは慌てない和希、自分もしゃがむと、はぁはぁと息を荒げている瞬を覗き込んだ。
「……」
瞬は相変わらずのうるうる双眸で和希を見た。
しばし無言で繋ぎ合わせていた視線は、やがて、ゆっくりと降下していく。
和希の股間に。
「……勃ってる」
「そうだな」
「……なんで?」
「この状況に興奮しているからだ」
「男の俺に興奮してんのかよ?」
「そういうことだ」
変態、と瞬は呟いた。
笑いながら。
「かずきー、おれわかめスープ飲めないよ~」
「わかめは頭髪にいいんだぞ?」
「わかめ、ぬるぬるしてて怖いよ~」
「やれやれ、じゃあ飲んでやる、その代わりジャン○を買ってくれ」
口元にわかめの切れ端をくっつけ、半ベソだった瞬は、和希のその言葉に急に笑顔となった。
「ありがと、和希ー」
しょうもない思い出だ。
だけど何と美しいことか。
「……和希、俺さ」
まさか和希が小学校時代の給食時間に思いを馳せているとは夢にも思わずに、瞬は、告げる。
「いきなり女になって……その、おっぱいとか見せたけど……揉ませたけど……それはお前だったからっつぅか……」
「……」
「すっげぇ気持ちよくて……男に戻ってからも、さっきのとか……お前が妙にうまいからっていうのも、あるんだろーけど」
瞬の双眸がさらに、うるるっと、潤んだ。
「……俺達、なんか、羽目外しすぎちゃったな」
泣き笑いの表情を浮かべた瞬に和希は首を左右に振らず、縦にも振らず、断言する。
「こうなったらとことん羽目を外すぞ、瞬」
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