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女体化した幼馴染みがすぐ元に戻ったけど意外と平気だった。-5

皆本瞬は夢を見た。 目の前で女体化した自分と幼馴染みの甲原和希がいちゃついていた。 え……なんで? 俺、ここにいるのに。 和希、こっち見ろよ。 無視すんなよ。 なぁ、聞こえないの? すると女体化した方の俺を抱きしめて和希は言ったのだ。 「悪いな、瞬、俺はやっぱりこっちがいい」 「うわぁっやだぁぁぁっっ!!」 瞬は絶叫と共に飛び起きた。 授業真っ最中の教室の片隅、立ち上がった際の弾みで倒れたイスがけたたましい音を立てた。 クラスメートほぼ全員が何事かと振り返り、教師がホワイトボード前で凍りつく中。 頬杖を突いた和希もダサ眼鏡越しにちらりと幼馴染みを目にしたのだった……。 昼休みの前半を説教で潰された瞬が職員室から出てくると。 「足元に小さなおじさんでもいたのか、瞬」 出入り口で待っていた和希に瞬は驚いた。 驚くのと同時に、盛大に腹をぐぅぅっと鳴らした。 「……お前、俺を何だと思っている。カレーライスにでも見えたか」 呆れる和希の片手には購買のレジ袋が握られていた。 説教中、お腹が減って倒れそうだった瞬は目敏く見つけるや否や、子犬のように和希に纏わりついた。 「何それ何それ!?」 「お前の説教待ちの間に買ってきた、購買イチオシのベーグルサンドだ」 「おぉぉお! すぐに売り切れちゃうあの!? やったぁ、食べよ」 食事中のために生徒が疎らな廊下を二人は並んで歩く。 「それにしてもさっきのは何だったんだ」 「あー……あれは夢、見てさ」 「小さなおじさんか?」 「違ぇよ。女体化した俺とお前が出てきてさ」 「セックスしていたのか」 「違ぇよ! そこまでしてねーよ、変態! いちゃついてただけだ!」 「ふぅん」 「俺はちょっと離れたところからお前らを見てて」 「ふぅん?」 「なんかすっげー寂しかった」 「……」 「俺がいるのに、女の俺にくっついて、完全スルーされて」 二人が入った先は無人の教室だった。 体育祭などの学校行事に使われる用具が押し込まれた謂わば物置スペースで、机やイスは一切ない。 たまにここを利用する二人は埃が制服につくのもお構いなしに、窓際にぺたりと腰を下ろした。 「なぁなぁ、何ベーグル? 苺? ブルーベリー?」 食欲に忠実となって和希に擦り寄る瞬。 一方、先程の夢の話を聞いて、幼馴染みのいじらしさに感銘を受けていた和希は。 「……ちょ、和希!?」 性欲に忠実となってキスしてこようとした和希に瞬はぎょっとする。 「セックスしよう、瞬」 「やだ! 学校でやったら後の授業がきついんだってば!」 「どうせ殆ど寝て過ごしているだろうが」 「俺腹減ったもん!!」 相変わらず腹をうるさく鳴らしながら嫌がる瞬を、和希は、じっと見つめて。 「……一ついい案が浮かんだ」と、不敵な囁きを口にした……。 「どうだ、瞬?」 「……」 「人がせっかく買ってきてやったというのに感想もなしか?」 「……っ、の、変態……こんな状態で、く、食えるかよ……!」 「俺は食えるぞ」 「お、お前は変態だから、だ……っ」 ほぼ制服を纏った状態にある二人。 ただ、和希に背中から跨る瞬は全身を紅潮させていて、呼吸するのも何だか大変そうだ。 「お前、手にしているベーグルを落としたら大惨事だからな」 「……うぐ」 「まぁ、俺が代わりに食べてやってもいいが」 「……変態」 和希をインした状態にある瞬は、ぶるぶるなりながらも、おいしいと評判のベーグルを口元へ運ぼうとする。 Sな和希は悪戯心に促されて腰を突き動かしてみた。 「あっ」 口元まで後少しというところで瞬は仰け反った。 大惨事は免れたものの、ぎゅっと握り締めた余り、中味がぽろぽろ零れ落ちてしまう。 「ひぃん……ベーグルがぁ……」 「しょうがないな、俺に貸せ」 実は瞬が説教中にベーグルを食べて腹をある程度満たしていた和希。 さすがに空腹のままでいさせるのは酷かと思い、震える手から取り上げると、食べやすいサイズに千切った。 金魚のようにぱくぱく口を開く瞬の唇へと運ぶ。 口腔に押し込むと指先で舌の上へ。 「ちゃんと噛むんだぞ?」 「ん……おいひぃ……」 「高校生にもなって人から食べさせてもらうなんて甘えん坊だな」 また何か文句を言いかけようとした唇にベーグルを与える。 飢えている瞬は素直に和希の長い指から頂いた。 「も……もっと」 「もっと、とは、どっちだ? こっちか?」 「ひゃっあぁぁんっ……、ちが、違ぇよ! ベーグル!!」 「やれやれ。人使いが荒いな」 和希のブツでいっぱいいっぱいなナカとは別に腹を空かせた瞬は何とか一つ完食した。 「喉、渇いただろう」 次に和希がレジ袋から取り出したのはパックのバナナミルクだった。 今現在瞬のお気に入りNO.1の飲み物だ。 ストローを差してやり、また口元へと持っていく。 そして再び悪戯心に唆された和希は瞬がストローをぱくんとする寸前にパックを遠ざけた。 瞬は、うるうる双眸で、すぐ背後にある和希の顔を見やった。 「い……意地悪すんなよぉ……」 ああ、瞬。 お前は俺を煽る天才だ。 和希は瞬に差し出す予定だったストローを自分が咥えた。 甘い甘い飲み物を口に含むと、瞬を上向かせ、唇を覆う。 舌伝いにバナナミルクを流し込む。 「ん……はっ……ふ、ぁ……ぁ」 瞬がうまく飲み込めずに下顎へ零した分は器用に舐め取った。 とりあえず一つ食べたからいいだろうと、静止させていた腰を動かし始める。 「やぁぁ……らめだってば……!」 「この状態のまま教室に戻るほうが、らめ、だと思うぞ?」 カウパーでとろとろになった瞬のブツを掌で覆い、擦りながら、本格的なピストンを。 「ふぁぁん……和希ぃ……」 「この変態! 顔中ベタベタんなったじゃねーか!」 男子トイレの手洗い場でバナナミルクくさい顔を必死でばしゃばしゃ洗う瞬を見下ろし、和希は、わざとらしく首を傾げてみせた。 「上も下もバナナ尽くしで喜んでいたじゃないか」 蛇口をきゅっと捻って水を止めた瞬は顔から大量の雫を滴らせたまま和希をきっと睨んだ。 そのまま何も言わずに廊下へ出て行く。 和希はフフンと笑って水を点々と落としていく瞬の後を上機嫌で辿った。 夢の中で女体化した自分自身に嫉妬するなんて。 お前は結構俺を愛してくれているんだな、瞬?

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