132 / 611

妖魔丑三つエモーショナル/ホスト吸血鬼+893狼男×タラシ美人神父/3P

妖魔と人間が最も混在する眠らない街、丑三つ町(うしみつまち)七丁目。 その街で一番人気のあるホストクラブ「SICK/シック」のNO.1と言えば。 「指名してくれてありがと、どーもはじめまして、Jillです」 さらっさらなシルバーブロンドにカラコンではないモノホンなアイスブルーの瞳、あまーい目許に整った鼻梁にシャープな輪郭、工事は一切入れていない、やはりどれも天然モノだ。 そして最も目を引くはうっすら血の色がかった唇から時折覗く乱杭歯。 「Jillぅ、咬んで? 私の血、ぜんぶあげる!」 「じゃあアタシもー!Jill様に捧げちゃう!」 「あ、オレね、クォーターだから。血とか飲まなくても生きてけるし、夏の海だってみんなと遊び行けちゃうし、ニンニク料理とかフツーに食べて精力つけるの全然平気だし」 「「きゃー!」」 祖父に吸血鬼をもつ、源氏名がJill(ジル)、本名は北御門朱里(きたみかどしゅり)(21)は決めJillスマイルで今夜も新規客のハートをがっちり鷲掴みにするのだった。 妖魔と人間が最も混在する眠らない街、丑三つ町七丁目。 その街で一番名の知れた反社会的集団「凶神会(きょうしんかい)」に最近入門したという要注意人物なる新人と言えば。 「グルルルルルル……」 「くっそぉ、卑怯じゃねぇか、凶神のクソが」 「どうやって狼男なんざスカウトしたんだよ、この腐れ外道さんよぉ」 シマ争い、小競り合いは毎晩必須、その夜もとある高級中華料理店で一悶着が起きていた。 後から入店したくせに挨拶がねぇと喧嘩を吹っかけてきたどこぞの組の若衆頭含む構成員五名を満漢全席にぶっ飛ばしたのは、スーツを着た、頭部と手足が獣と化した、狼男の邑士狼(むらしろう)(21)だ。 がくっと気絶した五名を店頭へ纏めて放り投げ、他の客や店員がざわつく中、みるみる人間の姿に戻ったかと思えばとっちらかった中華料理をジィっと見つめる。 兄貴分が「食っていい」とOKを出してやれば、短髪黒髪ぶっきらぼうの士狼はガツガツ手掴みで食べ始めるのだった。 妖魔と人間が最も混在する眠らない街、丑三つ町七丁目。 いかがわしい店が所狭しと並ぶ裏通りの片隅にひっそり聳えるは丑三つ町教会、そこに坐する神父と言えば。 「夫がホステスに貢いで……私、もう耐えらえません、神父様、あの人を殺してやりたい」 「奥様、それはいけません、お気持ちを静めてどうか冷静に。神が見ておられますよ?」 「……あ、あの神父様?」 「こんな白魚のような手、罪に穢れるなど決してあってはなりません」 「あ、いや……神父様、触らないで?」 「ではどこなら触れて宜しいですか、奥様……?」 懺悔室で黒装束の人妻と何やら怪しい雰囲気になっている更級(さらしな)カヲル(21)、長めの髪を緩く縛り、男のくせに美人顔、そしてタラシ神父ときていた。 「あ、そんな……夫がいるのに、私、駄目……」 「そんなことをおっしゃいながら、ここはもう……、……でらっしゃいますよ?」 「いやぁん……」 その時。 懺悔室の出入り口に引かれた仕切りのカーテンが勢いよく開かれた。 「オレも交ぜろよ、神父サマ?」 「毎夜毎夜、よく飽きねぇな、カヲ」 狭い室内で人妻を抱きしめていた神父を見下ろす吸血鬼と狼男。 三人は同じ高校に通っていた元同級生だった。

ともだちにシェアしよう!