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妖魔丑三つエモーショナル-2

「なんで人間クラスに妖魔がいんだよ」 「あぶれてコッチに来たんだって」 「最悪」 そこは丑三つ町七丁目ではない、ど地方の、ど田舎だった。 多感な十代、高校一年生、人間クラスの教室で浮いていた朱里と士狼。 だからと言って妖魔同士つるむわけでもなく。 しかし体育や実験など、グループを組む際は二人一緒にされ、それでも人数が足りなくて周囲を見回す教師からクラスメートは誰もが顔を背けて、しかし一人だけ例外が。 「俺もあぶれちゃった」 カヲルだった。 家が教会だという、綺麗な顔をしたクラスメートは、偏見も恐れもなしに妖魔二人に接してきた。 「お昼食べよう」 「いちいち席くっつけんなよ、小学生かよ、ださ」 「俺の席を勝手に移動させんじゃねぇ、更級」 「小学校みたいで楽しくない?」 「朱里の目って綺麗だね、カラコンって思ってた」 「違ぇし」 「ビー玉みたい。キラキラしてる」 「……近ぇって、カヲル」 「わぁ。シェパードよりかっこいい」 「当たり前だろぉが、その辺の駄犬どもと一緒すんじゃねぇぞ」 「満月の夜じゃなくても変身できるんだね。ねぇ、触っていい? わぁ。尻尾もある。フサフサ」 「……さ、触りすぎンだよ、カヲ」 「きゃ!」 具合が悪いからと保健室で休んでいたカヲルの元へ授業をさぼって来てみればベッドで保健室の先生と抱き合っているところに遭遇した朱里と士狼。 「……カヲル」 「……てめぇ」 「ナイショ、ね?」 廊下へ走り去った先生を追うでもなく、悪びれるでもなく、人差し指を唇の前にすっと立てて微笑んだカヲル。 何故だか、妖魔二人は、ぶちぎれた。 わけのわからない衝動に従ってその場でクラスメートの人間を。 「ぇ……っな、んで……二人、ホモなの? 俺はホモじゃないんだけど……な……」 「……オレはバイかも」 「ッ、俺だってホモじゃねぇ……っでも……でも……!」 授業中、保健室のベッドで無我夢中で貪った。 「あ……っん……朱里ぃ……っ士狼ぉ……っ」 どこかほんのり甘い消毒薬の匂い、糊の効いた真っ白なシーツ、ぐちゃぐちゃに乱されて刻まれた深い皺。 カヲルが初めて見せた泣き顔。 何度も繰り返された捩れた呼号。 今でもよく覚えている……。

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