146 / 611
五月雨は初恋色-2
どしゃ降りの雨。
神社の境内で名前も知らないコと遊んでいた小学校一年生の舜は社務所の前で雨宿りしていた。
「こわい」
そのコはずっとぎゅっと舜の腕を掴んでいた。
ぱっちりおめめがかわいい、名前も知らない、今にも泣き出しそうなコ。
「こわくないよ」
舜もそのコをぎゅっとした。
芽吹きの季節に降る雨の薫りがそのコ自身からもしていた。
お互いをぎゅっとしながら、ちゅっと、きすした。
「爽真、お前」
目を見開かせている舜に先程までぱにくっていた爽真は思わず笑った。
「あ……やっと思い出してくれた、舜クン」
記憶の底に沈みかけていた五月雨色の淡い思い出。
ぶわりと蘇った過去。
懐かしい残像は舜に追い討ちをかけた。
再び重なった唇と唇。
「さ……再現しなくてもいーよ、舜クン?」
「……」
「お、おれ……もう女子には見えないし、ううん、もう男だってわかってるし、えっと……」
まだ物足りなさそうにすぐ目の前で待機している舜に爽真は言おうとしていた言葉を呑み込んだ。
「舜クン……男のおれにちゅーしたいの?」
「してぇ」
即答した舜は二度目……いや、爽真と三度目のキスに至った。
「ぷはっ……っしゅ、舜クン……っこれ、激しぃよッ、息できな……」
「ッ……うっせぇ、もっとさせろ」
「んぅ……っ!」
自分と同じく全身濡れそぼった舜に手加減なしの口づけを注がれて爽真は目を回しそうになる。
絡みつく両腕による圧迫感に胸の奥まで締めつけられる。
「ふぁ……ぁ……舜、クン……っ」
そんな上擦った声で名前を呼ばれると益々加減ができなくなる。
キスだけじゃ物足りなくなる……。
「ひゃっ」
雨滴を含んで重たくなったシャツを捲り上げられ、背中を直に撫で上げられて、爽真はどきっとした。
キス前よりも遥かに潤んだ双眸でおどおど舜を見上げる。
「く、くすぐったいよ」
「なにが、これが?」
「あっっ……やだ、なんか……ゾクゾクする、から……」
「……お前、勃ってる、爽真」
白々としていた頬が……一気に紅潮した。
舜も同じだった。
雨で冷えていた体はもうすっかり熱を取り戻して、少々、鬱陶しいくらいだった。
「俺も勃った」
その場で座り込むと強引に膝上に爽真を座らせる。
肌に張り付いて不快なシャツを脱ぐ脱がせる余地もなく、真っ先に双方の制服ズボンに手を伸ばす。
「えええっ、だ、だめだよ、舜クンっ?」
「あー……うぜぇ、ちょっと黙ってろ、爽真」
「んむっっ!」
また唇で唇を塞いだ。
互いのペニスを外気に取り出してしまう。
じわわわっと、雨ではなく恥じらいの涙に濡れた爽真のぱっちり目。
舜に握られて、しごかれて。
握るよう導かれて、しごくよう促されて。
吐息の混じるキスをしながら硬く勃起したペニスをしごき合う。
「ん……っんんっ……んーーっ」
互いの手の中でもっと硬く熱く脈打ち始める。
ひどい雨でぱんつまで湿気て、うっすら湿り気を帯びていたペニスの先っぽが、みるみるカウパーでびちょびちょになっていく。
「んぷ……っぅ……ぷはっぁッ……しゅん、く……っ」
「ッ……もうちょいくっつけ、爽真」
舜はさらに爽真を引き寄せて互いの正面を近づけた。
「あっっ擦れちゃ……っっ」
触れて、擦れ合うペニスを、一纏めにするように片手で重ね合わせる。
ずるりと剥けて色濃いペニスと、さも初心そうなピンク色したペニスがヤラシク頻りに擦れ合う。
「あんっっ」
「犬みてぇ、それ、鳴いてんのかよ?」
「ちがっ違うよぉ、鳴いてなんか……っあんっっ」
「鳴いてんじゃねーか……おら、お前もやれ」
カチカチになってビクビクするペニス同士を二人でくっつけ合って擦って擦って擦りまくる。
ねっとりしていく利き手。
びちゃびちゃとヤラシイ音が立つ。
「あぅぅ……っおちんちん、すごぃぃ……ッ」
爽真の上擦った声色に舜は改めてビキビキしてしまう。
「やべ……ッいき、そッ」
「おれもぉ……っおれもいっちゃぅっっ、いっちゃうよ、舜クン……っっどうしよぉぉっっ」
「バカ……ッイけよ、バカッ」
「あーーーっいっちゃぅっっ……!」
「あ、俺も……ッ!」
二人はほぼ同時に絶頂を迎えた。
爽真は強烈ゾクゾクに全身を微痙攣させ、舜はまるで初めてさながらに新鮮射精感を貪った。
「っはぁ……っはぁ……舜クン……舜クン」
「……爽真……お前……はつこぃ、」
「っっえ?」
「ッ……、もっとキスさせろ」
「っっ……う……ん」
ほんとはな。
大嫌いだったこの場所が。
お前が来てから。
お前が毎日どーでもいいことにすげぇはしゃぐから。
そんなに悪くねーかもって、お前のせいで、そう思えてきた。
あんま他の奴に尻尾振って懐くんじゃねーぞ、爽真?
ともだちにシェアしよう!