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You are my beast!!!!-2
見た目でコロッと騙されるだめメンズの如く、実際は骨太精神な大和の今後の面倒を見ることにした唯咲。
「ドッジ、いっしょのチーム入れてやんよ、そん代わり足引っ張んなよ」
学校生活では常に気にかけて。
「たこ焼き半分コすんぞ、余りは俺の分な」
放課後も行動を共にした。
「お邪魔します。誰もいないんだね」
「かーちゃん、病院で働いてっからあんまウチにいねーの。飯も冷凍ばっか」
「だからいつも、朝、学校でバナナ食べてるの?」
「バナナ好きなんだよ、悪ぃか!」
母親と二人で暮らしているアパート宅に招いてマンガを読んだり、テレビを見たり。
「なぁ、さっき話しかけてきた中学生どんな用事だったんだよ、その紙なんて書いてあんだ?」
「メールのアカウントだって」
「……へ、へぇ~~……メールすんのか?」
「しない。携帯持ってないし。唯咲くんにあげる」
「いらんし!!」
六年生で違うクラスになったらきっと大和は淋しがるだろうなぁ、しょうがねぇ、休み時間になったら遊び行ってやっか、などなど、お得意の上から目線思考を唯咲が練っていた矢先に。
「引っ越すことになったんだ」
父親の仕事の都合で大和は海外へ移住することになった。
春、六年生のクラス替えで別々になるどころか国境を、大海を隔てて離れ離れに。
ずっと続くと思っていた日々がこんなにも早く終わりを迎えるなんて思ってもみなかった。
「行きたくない」
三学期の修了式。
二人以外誰もいない教室で唯咲は初めて大和の涙を見た。
「唯咲くんと離れたくない」
普段は表情に乏しくてアンドロイドじみた性別不明の大和が、顔をくしゃくしゃにして、大粒の涙を次から次にぽろぽろ、ぽろぽろ。
「泣くなよ、だっせぇ」
「唯咲くんも一緒に行こう?」
「バーーーーカ」
「お願い」
「ッ……行けるわけねーだろ! ガキみてーなコトぬかすな! いー加減泣き止め大和!」
「むり」
「ッ……」
初めて目にする大和の泣き顔にドキドキが止まらず、いつまで経ってもどうにもできないワガママを言い続ける唇にイライラが止まらず。
唯咲は大和にキスした。
「また絶対会えっから、泣くな、大和」
初ちゅーは涙の味がした。
それから五年後。
「おいおい、サキちゃんってば、皮剥かねぇでバナナ食ってんぞ」
「春休みボケしてんのかね」
「いーや、違うな、目つきギラついてっし、そろそろ皮ごとバナナ食ってやんぞ今畜生が!って心意気なんだろ」
「今日転校生来るしな、初日のご挨拶ってことで気合入れてんじゃね」
「転校生、女子かな!?」
「ここ男子校だ、ヴァーカ」
一学期の始業式、高校二年生になったばかりの唯咲は実際皮ごとバナナをムシャムシャ食べていたのだが、心意気なんて特になく、慣れない緊張感にてんぱって皮を剥くのを忘れていたというのが正解だった。
『唯咲くんの元に帰るよ』
先日、唯咲の元に届いたエアメール。
双方、パソコンどころか携帯も持たない電子機器音痴であるために心を込めて綴られた言葉達。
定期的に便りは届いていた、しかしその内容はこれまでのエアメールの中で一番衝撃的なものだった。
大和が帰ってくる。
俺の初恋の相手が。
当時はそれだと気付かずに見過ごしていた唯咲だが、お別れのキス、離れ離れになったことで大和への想いを自ずと知ることができた。
「サキちゃん、二本目いったぜ」
「転校生にどんな挨拶かます気だよ、見物だな」
名の知れた不良校でクラスメートから慕われている唯咲。
学ランの下にはパーカー、あーワルイコなんだなーと、わかりやすい金髪、複数のピアス。
身長は一七〇前半、見た目は悪くない、しかし女子とのお付き合いはゼロ。
俺様ヤンキーながらも初恋にひた向きに一途に大和のことだけを想って彼女ナシ青春時代を貫いてきた。
あっ……んだけかわいかった大和のことだ、どんだけ乙女に成長してやがんだ、クソッ、想像しただけで胸が痛ぇ。
あの日、あんだけ泣いてたんだ、俺と再会したら泣くかもな、アイツ。
俺がちゃんと慰めてやんねぇと。
男同士だからって周りがいくらザワつこーが関係ねぇ。
アイツはやっぱ俺がいねぇと何にもできねぇ、かわいー奴だから、
「唯咲くん」
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