163 / 611

雨のち幼馴染み-3

俺、こんなこと、しょっちゅうしてんじゃん。 いつもお前のこと茶化してんだろ。 だってそうでもしないと、ずっと一緒にいるのに、ソッチだけ体も心もどんどん成長して、コッチはいつまで経ってもガキみたいで、ど、童貞で。 差が開き過ぎて、なんかもう色々遣り切れないから。 ちょっとしたストレス解消のため、なのに。 それくらい許してくれたっていーだろ。 ううん、今まで許してきてくれたハズなのに。 思いきり顔を背け、ぐっと唇を噛み、微かに震えながら涙を堪えている真尋のことを弘毅はしばし無言で見下ろしていた。 「いーかげん退いてください……筋肉が重たいです……」 平均的な体型で、外見も至って極普通、可もなく不可もない成績で、ちょっと人見知り、然して突出したところがない、いつだって教室に簡単に溶け込む幼馴染み。 『鬼さん、くるかな?』 『しーーー』 弘毅の脳裏に遠い記憶が蘇った。 ジリ、と胸の底が熱を孕む。 「おーい……聞いてる……?」 今現在、自分の真下で身動きを封じられて悔しそうにしている真尋の姿に腹の底がざわつき始める。 ぷに 壁の方を睨んでいた真尋は目を見開かせた。 胸元に両手をあてがっていた弘毅に乳首をやんわりつねられて硬直した。 なにやってんの、弘毅の奴。 なんで俺の乳首つねってんの。 幼馴染みの急な振舞にワケがわからず硬直する真尋の乳首を弘毅はつねり続ける。 両方、左右の突起を親指と人差し指で緩々と挟み込み、コスコスしている。 時に指の付け根に引っ掛け、広げた五指で胸を揉みながら刺激したり。 ほんとになにやってんの、こいつ。 予想外の展開にただ戸惑うばかりで頑なに壁を見続けている真尋に弘毅はポツンと言った。 「これくらいが丁度いい」 柔らかくもない、弾力もない、真尋の胸。 これがいい。 真尋がいい。 「丁度いいって、何……言ってんの? さっきから何やってんの?」 やっと真尋は横目で弘毅を見た。 「何に対して怒ってんの? ぜんっぜんわかんないんですけど」 涙目で睨まれてそんな台詞を吐き捨てられた弘毅は。 これまで長い間我慢してきた欲望が弾ける音をこめかみで聞いた。 半分開かれたカーテンと窓の向こうでざあざあ降り続く雨。 「ぅ、ぅ……っぅ、ぅ、ぅ、っ」 僅かに軋む壁際のベッド。 うっすら暗い部屋にくぐもった声が途切れがちにしている。 褐色肌に制服をぺたりと張りつかせた弘毅は息苦しそうに悶える真尋のペニスをずっとしごいていた。 自分以外の手に初めて触れられて心とは逆に昂ぶった性器。 すでに一度射精しており、それでも弘毅は手放そうとせず、精液がねっとり絡んだ掌は執拗な上下愛撫を繰り返す。 ヌチャヌチャと、水気を含んだはしたない音色が真尋の羞恥心を煽る。 大した能力もないのに人並み以上にあるプライドは総崩れ。 喉奥から次々と滲み出る断末魔は……しっかり口を塞ぐもう片方の弘毅の手に吸い取られていく。 その腕に爪を立てて真尋は身悶える。 「ぅーーーー……っっ」 次の射精を予感した体がビクビクと打ち震えた。 幼馴染みの掌に捕らわれたペニスも膨張を増して、脈打ち、察した弘毅により強めにしごかれると成す術もなく腰を跳ね上げて。 びゅっっ……くん……ッ 「んっっっっっ」 窒息しそうな心地でまた達した。 ぱた、ぱた、濃密な雫が濡れたシャツにかかる。 「ぅぅぅ……っっ」 酸欠寸前、さっきまで雨で冷えていた体を満遍なく上気させて呻吟する真尋からやっと弘毅の両手が糸を引いて離れていく。 「は……っはぁ……っぅぅっ……ぅぇぇ……っ」 油断したら勝手に嗚咽しそうになる唇を今度は自分の手の甲で押さえ、真尋はベッドに横向きに丸まった。 怖い、弘毅、怖い。 彼女とするとき、こいつ、こんなひどいの? こんな弘毅知らない。 「ぅーーーっ」 震えながらちょい泣きしている真尋の背中に弘毅は寄り添った。 「ッ……触んなぁ……っ弘毅の変態ッ、なんでこんなぁ……っ……」 怖いのに、幼馴染みなのに。 二回もイった俺、かっこわるい。 後ろから抱きしめられてジタバタする真尋に弘毅は「ごめん」と謝った。 謝られてさらにかっこわるい気持ちが増してどうしようもなくなっていく幼馴染みに本音を告げた。 「ごめん、ずっと好きなんだ、真尋のこと」

ともだちにシェアしよう!