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beautiful vampire-3
凶器を握っていたハンターどもの利き手に一斉に突き立てられた、白刃の投げナイフ。
次に脅威の命中率で致命傷からぎりぎり逸れた場所にほぼ同時に突き刺さる、冷酷なるダガー。
「死神にダンスを誘われる前に早くここから出て行け」
へらへらしていない、笑っていない、真顔のダリアがそこにいた。
必死こいて闇夜を飛翔して村の教会までやってきた下僕カラスからロザの危機を聞き知るや否や、彼は、走った。
走って、走って、走り抜けた。
もう二度と大事な宝物を失わないように。
「ま、さか……お前……ナイフ使いのハンター……返り血一滴浴びないっていう……〈穢れなき天使〉か?」
「やめろー! ださいんだよ、そのネーミング! とっとと出て行けーーー!!」
怒ったダリアが瞬時に複数のナイフを振り翳したのを目の当たりにするなり、負傷したハンターどもは悲鳴を上げて館を立ち去っていった。
さぁ、これで危機は去った……?
「悪い、実は俺ハンターになったんだ、でもロザみたいな吸血鬼は傷つけないし、新世代だってぎりぎり殺したりは……聞いてるか? おい、ロザ?」
「ち……血の匂いが……」
「……ロザ、目が」
ハンターどもが流した濃厚なる血の残り香、それがロザの吸血本能を呼び起こす。
コントロールできずに、アイスブルーだった双眸を血の色に浸し、渇望して。
床に滴り落ちていた血溜まりに口づけようと……。
「やめろ! あんな奴らの血なんか……っそんな真似しないでくれ!」
ダリアは咄嗟にロザを背中から抱きしめて中断させると、吸血鬼ロザの久方ぶりの渇望を埋めてやるために。
愛用のナイフで自分の指先の皮膚を裂いてロザの唇奥に突っ込んだ。
「咬んだら駄目だぞ、咬むなよ、ロザ?」
「……ん」
「本当に咬んだら駄目だぞ? 俺が吸血鬼に、なって……」
ロザはダリアの指を無心で吸い上げた。
蝋のように蒼白だった肌を鮮やかに上気させ、切なげに眉根を寄せ、飢えた乳飲み子のように欲望赴くままにダリアの血を飲んだ。
「…………ロザ…………」
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