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おれたちバグズクラス!-4/男前系男子×美人系男子
「早く俺のモンになれよ、黒揚羽 」
何も知らない幼馴染み。
だから俺はお前のそばから離れたい、足長 。
黒揚羽に両親はいない。
黒揚羽が幼い頃に二人とも若くして亡くなり、幼かった彼はある男に引き取られた。
鬼蜘蛛 という男。
魑魅魍魎の蠢く闇社会に先祖代々君臨してきた一族の現トップ。
そうして黒揚羽は鬼蜘蛛の所有物となった。
「黒揚羽さー、なーんで足長のこと避けてんの?」
教室の片隅で虚ろに校庭を眺めていた、誰も近づくな的オーラをあからさまに出していた美人系男子の黒揚羽(178センチ)に平然と話しかけるのは、俺様姫系男子の揚羽だ。
太陽の元で光り輝く揚羽、月夜に冴える黒揚羽、二人はまるで対のよう。
「ねーなんでー? あんなイイ奴なのに」
「……黒蟻がまた蜜蜂にこき使われてる」
揚羽を遠ざける手段を心得ている黒揚羽、思惑通り、派手目立つクラスメートは不良系男子におつかいを無理強いされている恋人の救出へ颯爽と駆けていった。
「ちょっとぉ、俺の黒蟻あんまイジメないでくれる?」
堂々と好きな相手のことを明言できる揚羽。
羨ましい、と、黒揚羽は密かに思う。
さて、馴れ馴れしい派手目立つクラスメートが去って一息ついていた黒揚羽の元へ、さらに厄介なクラスメートが訪れた。
「黒揚羽」
足長蜘蛛君、通称、足長(183センチ)だ。
男女問わず誰からも親しまれている男前系男子な彼は黒揚羽の幼馴染みである。
両親が健在の頃、よく近所で遊んだ仲だった。
そして……。
「放課後、ヒマだろ? どっか遊び行こう」
机に片手を突くと頑なに視線を逸らしている黒揚羽を堂々と覗き込んでくる。
「暇じゃない」
「お前の好きなとこでいいからさ」
「だから、暇じゃない」
「ああ、昔よく遊んだ秘密基地とかいいかもな」
『ほら、きれーな花、黒揚羽にやるよ』
『……いいにおい』
『おとーさんとおかーさんの分もとってきた。早くよくなるといーな』
『……うん。ありがと、足長』
「……俺に話しかけないでくれ、足長」
汚れた俺はお前のテリトリーにふさわしくない。
虹色に光る糸の砦、もう、あそこには行けない……。
月明かりに透けて障子がほの白い光を帯びている。
「あ……く……」
い草の香る奥の間、触り心地のいい上質なる寝具、鋭いくらいの静寂。
黒揚羽の微かな悲鳴が溶けていく。
「旦那様……あ……あ……」
舌で遊ばれて、勝手知ったる風に指姦、全身を蹂躙する愛撫。
その間、ずっと、黒揚羽は密やかなる声で呼んでいた。
足長、足長、足長。
『お前、また綺麗になったな』
『なんで笑わなくなった?』
『なぁ、黒揚羽』
会いたい、足長、今日教室で会ったばかりなのに、もう会いたい。
『俺のモンになれよ』
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