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ぷりーず・ぷりーず・みー!/女装ショタ×男前ショタ
「ゆーくん、どう、似合う?」
小学校六年生の男子児童という身でありながら彼はソレを素晴らしく着こなしていた。
「なんで……そんなカッコ……」
長門弓哉 は動揺と驚きでいっぱいながらも釘付けになっていた。
ソレは女子モノのランジェリー、いわゆるベビードール。
ふわふわ、ひらひら、すけすけ、ぴたぴた。
えっちで、キュートで、あまくて、スパイシーで。
男子児童ながらも。
両耳にはミニなスターとクラウンのモチーフがキラキラ煌めくピアス。
染めているのが一目瞭然なプラチナシルバーのアシンメトリー髪。
ただでさえ細い首をさらに脆く見せる黒のチョーカーネックレス。
普段はファッション雑誌の表紙に抜擢されそうな洗練コーデを余裕で着こなす魅力的ルックスのジェンダーレス男子。
唯一、ランドセルが似合っていない。
「こーふん、する?」
「藍原」
「伊葡己でいーよ」
一年前、弓哉のクラスに藍原伊葡己 は転校生としてやってきた。
極々ありふれた水槽に飛び込んできた色鮮やかな熱帯魚のような。
それまで平穏に流れていた日常に隠し味のスパイスなるカオスをブチ込む起爆剤のような。
休み時間はイヤホンで洋楽スクリーモを鼓膜に垂れ流し、クラスメートとの交流を拒んでいるのは一目瞭然だった。
はしゃぐ女子一同に反して男子は呆れた。
まぁ無理して友達になる必要もないかと距離をおいた。
何かと忙しい体育委員、放課後は体育館で他校の生徒と共にミニバス活動に励んでいる、裏表のないまっすぐな性格で自然と輪の中心に据えられる弓哉も。
一人が好きなのかもしれない。
下手に構ってストレスになったら悪いし。
自分なりの判断で敢えて転校生に近づこうとしなかった。
『ゆーくんにはおれの方が合ってると思うよ』
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