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ぷりーず・ぷりーず・みー!-3

『今度の土曜日おとまり決定』 『え?』 『パパもママも出張。ひとりぼっちこわいから。二人で夜更かし、しよ』 『おかあさんに聞いてみなきゃ』 『ばんごはん、ピザでもい? クリーム系でい? サイドメニュー、チキンとポテトでい?』 『……』 母親に快諾されて、ミニバスが済むと一端帰宅してお泊まりの荷物を準備し、わざわざ手土産までもたされて。 夕方、何度かお邪魔したことのある、まだ一度も両親に会ったことがない伊葡己のマンション宅へ向かってみれば。 「ゆーくん、どう、似合う?」 発達途上にある、こどもめいた丸みを残す未完全な体でベビードールまで完璧に着こなした伊葡己は、玄関で硬直していた弓哉の両手をとってリビングへ案内した。 「荷物はとりあえずココ、あ、もしかしてコレくれるの? スイートポテトおいしそ。夜のおやつにしよう」 ソファに座った弓哉はふわふわひらひらを翻してキッチンへ移動した伊葡己から視線を逸らし、俯いた。 かわいいけど。 似合ってるけど。 いくらなんでもやりすぎ。 「ゆーくん」 急に隣に座ってきた伊葡己にどきっとした。 「ピザ、もう頼んで、届いてるから。カルボナーラ味。ポテトとチキンとコーラもあるよ」 「……そのカッコで出たの」 「まさか。さっき着替えたばっかだし」 いつものようにごろごろ甘えてきた伊葡己。 れっきとしたランジェリー姿のクラスメート男子を直視できない弓哉。 「着替えたばっかで悪いけど、また着替えてくんない」 「ゆーくん照れてる」 「だって……こんなカッコ……」 「おれ、やらし?」 イタズラっぽく耳元で囁いてみれば素直に頷いた弓哉に、伊葡己は、嬉しそうに笑った。 「ねー、ゆーくん、365回目のキスしよ」 ちゅぷ…… 「んっっ?」 記念すべき365回目のキスは……初めてのディープキスだった。 びっくりして目を見張らせた弓哉に構わずに伊葡己は続ける。 薄目がちになって、大好きなクラスメート男子の驚きを確かめつつ、ミント味のする舌を先へ進める。 ちゅぷ……ちゅぷ……ちゅぷ…… 「んっ……ちょ、藍原……っベロ、が」 「しー……舌かんじゃうよ……?」 「だ、だけど……」 「あとさ、藍原じゃなくて、伊葡己って。名前呼んで」 伊葡己はソファに弓哉を押し倒した。 女子めいた柔らかなお尻を突き出し、四つん這いになって、どんどんまっかになっていく彼にキスを続けた。 くちゅ、くちゅ、口内で伊葡己の舌が動く度に音が鳴る。 二人の幼かった唇がオトナびたキスであっという間に濡れていく。 「……伊葡己……」 数分後、顔を離した伊葡己は自分の真下でとろんと眠たげにしている弓哉をじぃっと見下ろした。 「かわいい、ゆーくん」 「……かわいい、のは……伊葡己じゃん」 「ううん、ゆーくん、かわいい。教室のみんな、だーれも。ゆーくんがかわいいってこと、気づいてない、知らない」 「……かわいくないし」 可愛いと言われて心外な弓哉はぷいっとそっぽを向いた。 無防備で、拗ねたクラスメートの見慣れない様に伊葡己は……心臓がとろとろになるような気がした。

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