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男の幼馴染みがほんとは女なんじゃないかって、でもやっぱ男だって気づかされたんだ-2
「由宇麻、お前、何考えてんだよ」
「んー?」
「てか、また勝手に庭から入りやがって」
「んー」
「てか、意味わかんないんですけど」
くそ、きっと姉ちゃんがこいつにばらしたんだ、こんなの前回と全く同じだ!
そう。
人生一人目の彼女と初デートのときも似たようなことが起こっていたのだ。
前日、嬉しさの余り幼馴染みの由宇麻に散々自慢し、当日、彼女と約束していた待ち合わせ場所に行ってみれば。
完璧女装で武装した由宇麻がすでに到着して彼女の隣に立っていた。
「そうちゃん、幼馴染みのボクも誘ってくれたの、一緒に遊ぼって」
自分のことを「ボク」と呼ぶ、ちょこっと不思議系の女子にしか見えなかった由宇麻にすっかり騙されたファースト彼女、ぶちぎれて即帰宅。
よって宗悟は女装幼馴染みと水族館へ行くことに……。
「聞いてんのかよ、由宇麻」
一回目はマックとケンチキとモスをおごってもらって何とか怒りを収拾したが、さすがに二回目はそうもいかない、泣きそうだ。
震える宗悟の声を聞いて、やっと、由宇麻はちゃんとした返事を。
「今、イイトコだから。そうちゃん、ちょっと黙っててくれる?」
ぷっちーーーーーん(プリンをお皿に乗っけたわけではなく、宗悟の思考回路が純粋なる怒りに切り替えられて何かが弾けた音)
「このやろぉぉお!! 俺の童貞卒業がまた遠退いたじゃねぇかぁぁ!!」
激昂した宗悟はベッドに乗り上がるなり、腹這いになっていた由宇麻を無理矢理反転させ、その胸倉を掴んで仰向けに押し倒した。
「なんなんだよ、意味わかんねぇ、俺の妄想えろライフをぶち壊しやがって……ッ、……」
マスカラを施して上向かせた長い睫毛、うっすらチーク、ぷるぷるつやつやなぴんく唇。
喉元を締め付けられて少し苦しげな顔に乱れた前髪がかかる。
「くる、し……そうちゃん、痛いってば……」
瞳いっぱいに涙が滲んで妙にきらきらきらきら。
エンブレム入りのブレザーにリボン、チェックのスカートにハイソックス。
ほのかに香るコスメたちのふんわりすいーとな香り。
え、あれ、これ、由宇麻なのに。
なんかどきどきすんのは気のせい、神様?
「童貞卒業とか……えろライフとか……そんなんばっか……そうちゃん、ぜんっぜん成長できてないね……?」
そう言って、由宇麻は。
枕下に隠していた、すでに準備していたコンドームを宗悟の鼻先に突きつけた。
「……そうちゃん、ばかなんじゃない?」
「……ばかはそっちだ、俺達高校生だぞ、十代だぞ? えろいこと妄想すんのが常識だろーが。せっくすすんのにゴムは必要だろーが」
「……うるさい、えろばか」
「……お、お前はどうなんだよ」
「え……?」
「えろいこと興味ねーのかよ、おなにーしねーのかよ?」
由宇麻の双眸が何故かさらに潤んだ。
「……うるさい」
ぷいっとそっぽを向いてすぐ真上に迫る宗悟を押し退けようとする、が、女子なりすましをパーフェクトにこなせる華奢な彼はやはり非力だ、バスケ部の宗悟にまるで叶わない。
「……しないもん」
「は?」
「……ボク、しないもん、おなにーなん、か……」
ぷるぷるつやつやなぴんく唇が紡いだ「おなにー」というワードに宗悟の下半身は否応なしにずくりと反応した。
いやいやいやいや。
ないでしょ、神様、これないでしょ、だって相手由宇麻よ、男の幼馴染みよ?
ガキん頃はちんこ見せ合った仲よ?
……ん? そーいえば?
見せたのは俺だけだったかも、由宇麻は恥ずかしがって見せてくんなかったかも。
「お、お前……なんでちんこ見せなかったんだよ」
「……は?」
「な、なんで昔……俺は見せたのに……お前、俺に見せなかったんだよ?」
「……な、なに……いきなり……やっぱそうちゃん、ばか?」
あ、もしかして。
もしかして、こいつ、ほんとは女なんじゃ?
あ、あ、そういえば、こいつって中学も高校も私服んとこで、男子の制服一回も着てないよな?
毎日ジーンズとかだったけど、ほら、女子だってジーンズ履くし?
あれ、そもそも俺、どうして由宇麻が男だって思ってたんだろ?
てか、男がこんなにかわいいわけないし?
「……由宇麻、お前……女だったんだな」
あほあほな宗悟あほあほ発言に由宇麻は耳を疑った。
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