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残念(陰)男子にされたい(陽)男子-5

次が体育の授業で校庭へ移動したときのことだった。 「おい、一紀」 猫背である自分の片腕に上機嫌でぎゅうっとくっついていた遠賀が真正面から誰かに名前で呼ばれた。 指名手配犯さながらに始終俯きがちでいる朔はぎこちなく顔を上げてみる。 「お前さ、いきなりブロックとかマナーなってなくない?」 前の授業でサッカーをしていた二年の上級生だった。 全角どこからどう見ても男前だ。 同類の友達グループに名前を呼ばれると「先に行ってていい」と声を上げ、ジャージの裾をロールアップさせてTシャツを肩捲りした彼は、首に引っ掛けた某ブランドタオルで汗をふきながら朔と遠賀の真正面までやってきた。 『せっ先輩もぉ……兄ちゃんの友達にも……っもぉ、貸さないから、ぁ』 まさかこいつがそうなのか。 もっと下品な不良っぽい奴かと思っていた。 「先輩、ごめんね!!」 「ほんとに反省してんのかよ」 男前先輩は遠賀がずっとひっついている朔に視線をやった。 目が合った朔は迷わず顔を背ける。 「きたろーのコスプレしてんの?」 きたろー、ゆうれい、教室の怪人、そんなあだ名をごまんとつけられてきた朔はだんまりを返す。 代わりに遠賀はにこにこしながら男前先輩に告げた。 「今、俺ね、梶本君専用なの!」 「ぶはッッッ」 「あ。そーいうこと。なら仕方ねーな、未練はあっけど」 「ごめんね、先輩!!」 ……あ、いつもの猫が隅っこにいる、体育が終わったら触りにいこう……。 父子家庭の朔はマンション自宅に帰れば一人だ。 「あんっ……あっ……あんっ」 最近は遠賀と二人っきりだ。 放課後はたいていセックスしていた。 「んっんっんっ……すごぃぃ……っ」 まだ開かれていない段ボールが二つばかり残っている自室のベッドで。 上に制服シャツを着たまま、下は靴下しか身に着けていない遠賀を下にして朔は腰を振っていた。 すでに一度ナカに射精し、ぐちゅぐちゅと捏ねられて泡立った精液がアナルを行き来するペニスに掻き出されて零れ落ちてくる。 じゅくじゅくと膿んだ傷口みたいな。 残酷な行為だと思いながらも止められずに繰り返しペニスを突き挿す。 まだ一度も達していない遠賀は肘を突いてわざわざ上体を起こし、指を添え、自分に出入りする朔を改めて確認した。 「ふわぁ、ちんちんすごぃ……一回いったのに、ずっと、硬いまんまぁ……」 仮性包茎だったのが今やすっかり剥けきって立派なナリとなったペニスのズボズボっぷりにとろんと見惚れる。 「もっとぉ……梶本君、もっとぉっ……俺のおしりにまた種付けして……?」 あの上級生とどんなセックスしたんだろうか。 絶対、確実に、向こうの方が性器は大きいはず、そしていかにも上手そうだった、こういうことが。 ひがみ・ねたみ・そねみ、これまで十分に慣れ親しんできた悪感情のはずであった。 が、かつてないくらい朔はムカムカしていた。 「あ……っ!!」 さらに上体を倒して遠賀に覆いかぶさり、その両手首をぐっと握りしめ、がむしゃらに突いた。 掬われた遠賀の両足がガクガク揺れる。 睾丸をブルブル揺らして突き入れられるペニスに「ん~~~……っ俺のおしりぃ、ぶっこわれそぉっ」と甘い悲鳴を上げた……。 「あ……。一紀君?」 駅ビルに入っているホームセンターに用があった朔、デート気分でぴったりついてきた遠賀。 遠賀を呼んだのは周囲の視線を独占するくらいに美形な男子高校生だった。 有名進学校の制服を着、ハンドクリームを片手に持っていた彼は朔にしがみついている遠賀に微笑みかける。 「メールしても返事どころか既読もつかないし。あれって、やっぱりブロックしてる?」 「兄ちゃんもいるの?」 「ううん。春臣は今日部活だから」 「あ、そーだった!」 『せっ先輩もぉ……兄ちゃんの友達にも……っもぉ、貸さないから、ぁ』 まさかこいつもそうなのか。 「一紀君、そのコ。初めて見るけれど友達?」 キラキラしている美形先輩を直視するなんて太陽をガン見するくらいにしんどく、顔を背けた朔、遠賀は猫背にしがみついたまま笑顔で答えた。 「黒丸……っじゃない、梶本君! 俺のご主人様!」 「ぶはッッッ」 「黒丸って……前に保護していたカラスの……」 どうも付き合いが長いらしい美形先輩はカラスの黒丸を知っていたようで、存在感がなくオマケに生命線が薄い朔を改めて見、声を立てて笑った。 「ああ、そういうこと。一紀君、黒丸のこと大事にしていたもんね」 ……早く玉子焼き用フライパン買って帰ろう……。

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