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いつだってどうしようもない奴/かわいい系ゲス×男前

いつだってどうしようもない奴だ。 「ん……ン……っは……ぁッ」 「クーヤ、かわい」 「ッ……うるさ、い」 そこはずっと昔から人が住んでいない空き家だった。 近くの公園で花火をしている十代らしき男女の笑い声が聞こえてくる。 ボリューム高めのテレビの音声、犬や猫の鳴き声も、どこからともなく。 庭の草木が無造作に生い茂った空き家の裏手。 向かい合って腰を頻りに揺らし合う境空也(さかいくうや)根岸明日葉(ねぎしあすは)。 ボトムスのフロントだけ緩めて取り出したペニスが暗がりの中でヌチャヌチャと縺れ合っている。 粘り気のある透明な糸を連ね、擦れ、ぶつかり、夏の夜気にどんどん露骨に張り詰めていく。 「あ……おい、明日葉……」 Tシャツの内側に不躾にも潜り込んできた手。 しかめっ面になった空也に躊躇することなく、むしろイタズラな笑顔を深め、明日葉はマナー知らずな指先でソレを探り当てた。 「んっ」 すっきり短髪であっさりさっぱり顔、女子には優しく男友達との付き合いは広く深い、性格も見た目も男前レベルの空也だが。 滅法、乳首が弱かった。 それを知っているのは歴代彼女を差し置いて、この幼馴染み、明日葉だけだった。 「乳首つまんだら、チンコ、ぴくってしたね」 明るい流行色に染められた髪、女受けする甘カワイイ顔立ち、逆に男からはあまり信用されていない、空也より二センチ高い明日葉。 蔦の這う壁にもたれた空也に睨まれるとくすぐったそうに笑った。 「かわい」 違う大学に通っている現役大学生の二人。 夏休み、実家に帰省していて、久し振りに再会した。 近所の店でごはんを食べて、懐かしい小学校界隈をだらだら散策して、目的もなく付近を歩き回って。 『懐かし、ここ』 この空き家に辿り着いた。 二人にとって昔からここはそういう場所だった。

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