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幸運のクローバーはここにいた-4

「吉祥、合コン開いてくんない?」 「もう夏だし?」 休み時間、スマホをポチポチしていたら群がってきた元クラスメート。 こいつら誰だ、かんっぜん、名前忘れた。 「それどころじゃねーわ、俺」 「またまた~。ヤリチンゲスヤローの名にかけてさ、一発ド派手にさ?」 「なに見てんの? 吉祥に妹いたっけ?」 「妹じゃねーよ、付き合ってんだよ」 「「……いつからロリコンになったんですか?」」 ロリコンじゃねーし、男だし、四つ葉だし。 小さくて、か弱い、ふわふわした、子犬みたいな。 ヤリチンゲスヤローから俺を卒業させてくれた幸運のクローバー。 学校をちょっと早めに切り上げて、つまり無断早退して、待ち合わせしていたコンビニで立ち読みしていたら。 「吉祥くん」 ランドセルを背負った四つ葉がやってきた。 雨ばっかりのこの時期、半ズボンに水玉柄の長靴を履いて、レインコート、うお、フードに猫耳ついてる。 カシャッ! 「あ……っまた撮った……」 「だってかわいーから」 写真撮られるのを恥ずかしがる四つ葉、頬を赤くしてもじもじしている、あーたまんね、もう一枚撮っとこ。 またスマホを翳して撮影しようとしたら四つ葉は恥ずかしがって俺の利き手をぎゅっとしてきた。 「やです……お客さんもいるし……恥ずかしいです、吉祥くん」 うるうるおめめ攻撃にやられた俺はスマホを制服ポケットに仕舞って四つ葉をアイスコーナーへ連れて行った。 「どれか好きなの、いっこ、いーよ」 「ほんと?」 アイスが詰まった冷凍庫にしがみついて、どれにしようか真剣に迷う四つ葉、写真撮りてぇ、違うか、ここは動画いっとくべきか、でも嫌がるからガマンガマン。 ガマン、か。 前の俺なら相手が嫌がろーと自分の欲求ぐいぐい押しつけて無理矢理にでも叶えてたっけ。 でも今は四つ葉に嫌われたくねーから。 四つ葉が嫌がること、したくねーし。 俺もオトナになったモンだな。 冷蔵庫の扉をぐっとスライドさせた四つ葉は二つに絞ったアイスを取り出して、どっちにしようか、きょろきょろきょろきょろ。 「どっちもいーよ」 「えっっ」 なんかすごいショックなことが起きた並みの驚き顔で四つ葉は俺を見上げて。 「……ありがとぉ、です、吉祥くん」 カシャッ! 「あっっ」 もう条件反射だ、これ、かわいすぎる四つ葉が悪い、俺は悪くない、うん。

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