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びっちな君をあいしちゃう-9
週末で賑わう夜七時過ぎの繁華街にて。
「おなかへったー、とんこつラーメン食べたーい」
クリスマス仕様にアレンジされたショーウィンドウ前を通り過ぎる際に自分の姿をちょこちょこチェックしている、耳に複数のピアスをした間壁累。
「ラーメンなら醤油食いてぇ」
黒スキニーに黒スニーカー、黒髪に白メッシュを入れた咥えタバコの柊一騎。
「おそばがいい」
フードをかぶってマスクを顎にひっかけている、指先を黒マニキュアで彩った一ノ宮憂灯。
名門私立に通っている高校生には見えない。
不良であるのは一目瞭然だ。
「そばとかないわ~、しかも憂灯が言ってんの冷たいやつっしょ? ないわ~」
「絶対ぇ、醤油、譲れねぇ」
「おそばがいい」
放課後も休日もだいたいつるんで行動を共にしている三人は晩ごはんをどうするかで一揉めしかけていたのだが。
「あれっ」
「お」
「あ」
行き交う通行人の狭間によーーく知っているクラスメートを三人同時に見つけて思わず立ち止まった。
クラスメートの名は御堂史永。
教室一の秀才である銀縁眼鏡の委員長、外見も優れており、一見して隙がなさそうに見える完璧男子のようだが。
『早く……おちんぽみるく、僕のビッチくさいお口に……いっぱい大量にぶっかけて……?』
実はなかなかなビッチちゃんだった。
以前、体育用具倉庫で不良トリオにお仕置きされて眠りについていたビッチ性が開花し、それからというもの非常にけしからん性生活を送っていた。
そんな隠れビッチ委員長には連れがいた。
高レベルのナイっスミドルだ。
俳優ばりに眉目秀麗なお顔立ち、一般企業にお勤めとは思えない洗練された着こなし、さも高級外車に乗っていそうな、とにかくそんじょそこいらの一般中年にはないオーラを持った連れだった。
「マジか、委員長」
年齢差のある二人を目の当たりにした瞬間、累の頭にぶわりと浮かんだのは「援助交際」だった。
『あ……ぁん、オジサンの経験豊富おちんぽぉ……クラスメートのおちんぽよりイイの……僕のビッチお●●●、中年汁でふやけちゃぅ……』
い、委員長、ビッチ過ぎんだろーーーーー!?
「あのクソビッチヤローが……」
恋人同士にしか見えない一騎は一気に凶悪なツラとなってタバコを噛み潰した。
『やん……っっ……ぃぃ、です……っっいれられたばかりでっ……もぉ、ぃっちゃぅ……っっ……ビッチな僕で……ごめんなさぃ……っっ』
クソが、ビッチだからって調子コキやがって、誰にでも股開いてんじゃねぇよ!
「あれって」
親子関係だと思った憂灯は。
『パパぁ……っパパのおちんぽ、ビッチ●●●の一番奥にガツガツあたるのっ……気持ちぃぃトコ擦ってるのっ……もっとハメハメしてぇ……? ビッチ息子、パパおちんぽでめちゃくちゃはらませて……?』
三人は顔を見合わせた。
「けしからんですよ、ビッチ委員長」
「ガチでクソビッチだな」
「不道徳、倫理観総崩れ、だね」
それぞれ思いついた関係性に違いはあるものの同意見に辿り着いた不良トリオ。
そこから始まった街中尾行。
カフェに入った史永とナイっスミドルを歩道から気づかれないよう三人揃って盗み見した。
「あんな風に笑う委員長、初めて見たー」
やっぱお金? 料金発生するとビッチサービスも目白押し!?
「ッチ……なめやがって、いつもと態度全然違うじゃねぇか」
包容力か? 年上の包容力に安心しきってんのか? クソが!
「やっぱり一番身近な相手だから」
やっぱりタブーを犯してるってことで相当興奮するのかな、セックス。
そうこうしている間に史永とナイっスミドルが早々とカフェから出てきた。
先に出ていた史永の元へ、会計を済ませたナイっスミドルがやってきたかと思えば。
華奢な肩にさも慣れた風に絡まった片腕。
男同士でありながら大胆なスキンシップに照れるでもなく笑顔で受け入れている史永に、三人は、もう我慢ができなかった。
「「「委員長」」」
恋人のように肩を抱かれていた史永は突然目の前にやってきた不良トリオに聡明な目を見開かせた……。
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