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結んで縛って赤い糸-4
帰りが遅くなる、父親にそうメールを打とうとする梓だが。
「あ……ぁんっ……あんっ……あんっ……」
梗に突かれ続けてなかなか文章を打つことができない。
すでに夜の帳が降りた窓の外。
上半身に制服やパーカーを纏ったままソファで繋がり続けている二人。
梓の後孔に梗のペニスが深く沈んでいる。
小刻みに律動しては奥から最奥にかけてぐちゅぐちゅと愛撫している。
すでにナカで吐き出し済みの精液が先端に纏わりつき、濡れ擦れ、生温く湿ったリズムを刻む。
「あん……っっ」
「梓、俺のこと見て」
「きょう、く……っあんっっ……あっ、あっ、あっ、あっ」
「梓の一番奥に届いてる? ココらへんが限界? もっと奥までいける?」
「やっだめぇっ……も、いけないっ……もう奥はいらない……っ」
さらさらした黒髪が乱れて目元にかかり、毛先が涙で濡れた。
梗は規則的な動きを休めずに優しく耳元へ髪を梳く。
久しく閉ざされていた後孔を限界最奥まで暴かれて切なげに捩れた顔を好きなだけ見つめた。
「ずっとお世話して、可愛がって、死ぬまでいっしょにいてあげるから」
「ぇ……っぁ……ぁっぅ……はぁ……っ」
「俺のあかちゃん産んでね?」
仮膣奥で荒々しく脈打ち始めた梗に梓は目を見開かせた。
「ま……まただすの……っ?」
「ね。産んでね?」
射精を目指してより激しくペニスが抽挿される。
名前も顔も知らない人間の痕跡なんかいらない。
俺が一緒にいてあげればそれで満ち足りるよね。
「俺のあかちゃん産んで?」
「う、産みゅ……っ梗きゅんの、あかひゃん……っ産みゅぅっっ」
仔猫みたいに両腕に爪を立てて叫んだ梓に梗は心底見惚れた。
見惚れながら一思いに射精した。
いとおしい仮膣に精子をしっかり注ぎ込んだ。
この爪一つだって欠かさず俺のものにしてあげるね。
「あ……まだメール打ってなかったんだ」
胸を反らして酸欠金魚のように口をパクパクさせている梓の頭側に落ちていた携帯。
梗は「ちょっと借りるね」と一声かけて手に取ると。
「お父さんに代わりにメールしておくから。泊まってくるって」
「っ……ぇ、きょぉ、くん……? あ……?」
涙が途切れない梓の双眸から大粒の涙がふわりと溢れた。
自分の限界最奥で達したばかりのペニスが熱を宿したまま緩々と動いている。
全体的に微痙攣している仮膣をなぞり回された。
「え……っまたするの……?」
速やかにメールを打ち終えると携帯をゆっくり床に下ろして、梗は、全身強張らせた梓を間近に覗き込んだ。
「だめ?いや?もう帰りたい?俺から離れたい?俺のこと嫌いになる?」
これまで見たことがない、拗ねた、悲しげな、わがままな、こどもっぽい梗。
梓は息が止まりそうなくらい胸を締めつけられた。
すぐ頭上で物欲しそうにしているクラスメートの頭をたどたどしく、そっと、撫でた。
「いい……よ……梗くん、傷つけてごめんなさい……」
その手首の瘡蓋だって俺のものだからね。
「見て。梓」
翌日の昼過ぎ。
目が覚めた梓の起き抜けの視界に翳されたのは。
「梓とお揃い。俺と梓のあかちゃん」
右目に眼帯がつけられた可愛らしい動物のぬいぐるみ。
風邪を引かないようブランケットをかけられていた梓はベッドで添い寝していた梗にそんな言葉と共にソレを手渡されて。
「……かわいい、イイコイイコ……」
幸せそうにぬいぐるみをヨシヨシと撫でた。
ありのままの姿でいる梓を梗は抱きしめる。
二人はきっと。
血よりも赤くて糸より鋭い有刺鉄線で結ばれている。
end
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