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コスモ系セレブな男子-2

「……が、外国?」 「シノブ、お腹空いてない? 何かフルーツでも持ってこさせようか?」 十七歳になったシノブはすげー山奥にある全寮制おぼっちゃま学校で寮生活を送っている。 週末になればプライベートジェットで帰省して俺の元にやってくる。 高校に進学しないでバイト三昧な俺は纏わりついてくる秀丸をきれーさっぱり無視している。 だってコイツひでぇ奴なんだ。 こんな貧乏人の俺を好きになってくれた女の子に、札束積んだりなんかして、身を引かせようとして。 お金なんか関係ない、本人がはっきりそう言えば、その家族に積みまくって。 結果、そのコは家族といっしょにどっか遠くへ引っ越していった。 「シーフードがいい?」 「つぅか……俺、どうやってここに……」 「ちょっとお注射しただけだよ?」 「ッ……この宇宙人!! 前後の記憶がなくなるレベルの注射なんかしやがって!!」 ぐーーーーーーーー 「やっぱりお腹空いてるんだね、シノブっ」 乙女みたいに嬉しそうに笑う秀丸。 五分後、俺がいたベッドにはご馳走がずらり。 腹が減ってるし美味そうなのでとりあえず食っておく、あ、うめぇ、こっちもうめぇ、やべぇ、手が止まんねぇ。 「シノブ、おいしい?」 アンティークっぽい椅子に優雅に腰かけた秀丸は制服姿だった。 白ブレザーにブルーのシャツ・ネクタイ、茶色のローファー。 男のくせに美人な秀丸。 明らかにモテる男子の顔つきだ。 それで大黒屋財閥の御曹司なんだから選り取り見取りだろーに。 「う゛ッ!ぐほッ!」 「詰め込み過ぎだよ、シノブ、ふふふ」 「ごくごくッ……ふーーッ……」 「でも、記念すべき初夜だから体力はつけておいてもらわないとね」 「ぶはーーーーッッ!」 逃げないと。 そう思って別荘を出れば……見渡す限り白い砂浜、やたら真っ青な海と空。 が……外国っぽい……ガチか……。 とか思わせといて実は日本近海だったり? 沖縄だったり? でも使用人が全員外人なんだよな……。 しかも国も別々みたいだし、色んな言語があちこちから……うう、ほんとここどこなんだよ!? 「とりあえずイカダつくろ」 別荘を取り囲むようにして広がる山、そこに分け入って使えそうな竹やら打ち棄てられていたロープを拾い集め、砂浜でせっせと組み立てていたら。 「ノー!!」 サングラスかけたスーツのボディーガードがやってきた。 「シャーク!デンジャラス!」 肩に担がれて別荘へあっという間に連れ戻された。 吹き抜けゆったり広間のソファで寛いでいた秀丸の隣にヨイショと下ろされる。 「おかえり、シノブ」 しかもご丁寧にロープでぐるぐる巻きにされて。 「これって犯罪だよな?」 「シノブが勝手に海に入ってサメに襲われないための最善策だよ」 「そもそもお前が勝手に俺をここまで拉致ってきたんだろーが」 「シノブ、今日は思い出に残る一夜にしようね」 ロープでぐるぐる巻きの俺に寄り添ってきた秀丸、恥ずかしそうに微笑みかけてきた。 宇宙人だから会話が成立しない。 いや、まだ本物の宇宙人の方が意思の疎通に長けているかもしれない、大昔の映画でチャリのカゴに乗せて飛ぶやつあっただろ、あっちの方がまだ可愛げがあって親近感持てるって、共感できるって。 「そもそも! 俺はお前を助けたんじゃなくて! 五百円ほしかったんだよ!」 「また照れ隠し」

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