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元気と神経質のけみすとりぃ/元気×神経質

昼休み開始のチャイムが校内に鳴り響いた。 「やったぁぁぁ!! 飯ぃ!! カツカレー!! ハンバーグカレー!!」 まだ終業の挨拶が済んでいない教室、居眠りしていたはずの紺野宗太郎(こんのそうたろう)は飛び起きるなり大声を上げた。 その結果、教師に説教を食らい、他の生徒よりランチにありつくのが遅くなってしまった。 「紺野ぉ、ここ!」 「あ! 俺のカレーちゃぁぁん!!」 食堂で先に食事についていたクラスメートの元へ笑顔で駆け寄り、親切な友達が買ってくれていたコロッケカレーをぱくぱく食べ始める。 「うまいよ! カレーうまいよ! なんでこんなにうまいの!?」 「うるせー紺野」 「毎日テンション高すぎ」 「小学生か」 友達のツッコミに宗太郎はへらへら笑う。 「あ、今日の体育ってドッヂだっけ!?」 「ばーか、バレーだよ」 「小学生か」 ごはんつぶを頬にくっつけて他の皿からもおかずを横取りしようとする宗太郎に友達は顔を見合わせる。 「こいつのカノジョになる子ってお守りで大変だろうな」 昼休み終了間近を伝える予鈴が校内に鳴り響いた。 「退いてくれないか」 図書室から教室に戻ってきた中村利人(なかむらりひと)は自分の席に座っていたクラスメートに冷めきった声音で告げた。 慌ててその男子生徒が横に退くと、ハンカチと一緒に常に持ち歩いているポケットタイプの除菌ウェットシートを取り出すと。 イスの上や机までも丁寧に拭き始めた。 「……なにあれ、俺、バイキン扱い?」 「いつものことだよ、あれ、中村の習慣」 後席のクラスメートはピンと背中を垂直に立ててイスに座った利人に苦笑する。 「こいつのカノジョっていつも気ぃ遣って大変そうだよな」 放課後。 違う学校に通う宗太郎と利人は大体最寄りの駅で顔を合わせる。 「利人ぉ!!」 「……宗太郎」 二人は幼馴染みの親友同士。 小さい頃からあまり性格が変わっていない、正反対な二人。 二人には「幼馴染み」「親友」そしてもう一つの肩書きがあった。 それは「恋人」。 「ん……っん……っん……っ!」 「ふ……ぅ……っ」 そこは紺野宅の二階にある宗太郎の部屋。 四人男兄弟の次男であり、今は余所で一人暮らししている兄と同室だった名残の二段ベッド下。 父は会社、母はパート、弟二人は部活動で誰もいない家。 宗太郎と利人は夢中でキスを繰り返していた。

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