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俺達はそんな君にひとめぼれした-5
「遅くなってごめんなさい!」
「ううん、平気……あれ、もしかして」
「お前、シャワー浴びてきたのか」
街中の待ち合わせ場所にて、制服ではなく見慣れない私服姿で待っていた先輩二人に思わずときめいた太一だが。
あれ、なんかマズかったかな?
シャワー浴びてくるなんて、あんまりにも、あんまりだったかな?
「ううん、違うよ、むしろ反対」
「ちょっと感動しただけだ、じゃあ行くぞ」
浴衣を着た女の子たちや騒々しい若者集団、家族連れやカップルなどで賑わう雑踏を京乃と九月にエスコートされて。
人生二度目となるラブホにまっしぐら。
やはり慣れずに挙動不審がちな太一に先輩二人は普段と変わらないテンションで声をかける。
「俺と九月、シャワー浴びてくるね」
「ちょっと待ってろ」
時々キスする仲でもある上級生二人、挙動不審下級生を残してバスルームへ。
過激なドラマやえっちな動画で見るようなスケスケバスルームじゃなくてよかったと変なところで安心した太一、ぎこちなく一息つくと巨大ベッドに腰掛けた。
ちなみにこのラブホ、なかなかお高いところで、それでも花火大会当日ということもあって満室だった。
しっかり者上級生二人は前々からちゃんと予約してこのルームを確保していたのだ。
「……あ!」
シャワーをざっと済ませた京乃と九月はボクサーパンツ一丁で太一の元に戻ってきた。
これまで局部以外ろくに制服下の素肌を見たことがなかった太一、慌てて俯いたものの、やはりその視線は下半身に寄せられがち。
どきどきどきどき
服を着たまま縮こまる太一の両脇に平然と腰かけた京乃と九月。
少し濡れた、火照った肌が直に腕に触れ、太一のどきどきは否応なしに増す。
まだ子供じみた自分の体と比べて成熟された大人に等しい体つきの二人に挟まれ、緊張と興奮でがちがちに硬直してしまう。
「田中クン、緊張してるの?」
太一は正直にコックリ頷いた。
「大丈夫……優しくしてあげる」
顎を掬われて上向かされ、レンズ奥にある京乃とバッチリ目が合い、太一は震えた。
そっとキスされると子供みたいに目を瞑って息まで止めてしまう。
「……田中クン、口、開けて?」
京乃は自ら抉じ開けるのではなく、敢えて太一自身にそうするよう囁きかけた。
恐る恐る太一が言われた通りにすれば、ぬるっと、舌先を。
「んっ」
京乃の舌先によって口内がやらしく音立ち、太一の頭は上昇する熱でぼぅっとなる。
そこへ背後から絡まってきた九月の両腕。
胸元をじんわり圧迫し、うなじには小刻みな口づけ、そして耳たぶをかじられる。
「んむっ!?」
京乃とキスしている太一に九月はキスしてきた。
上級生二人からの同時キス。
三人の唾液がねっとり絡まり合い、物欲しげな舌先は強張りがちな舌を常に求め、執拗に器用に動き回る。
あ……だめ……京乃さんと九月さんの舌、やっぱりすごい。
こんなキスされたら……もぉ、おれ……限界……です。
「しゃ……っしゃぶりたい……っ先輩たちにご奉仕したぃぃぃい……っ」
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