357 / 596

血迷いラプソディ-7

学校行事の一つである宿泊活動として俺が担当する学年は少年自然の家へやってきた。 周囲を深い山林に囲まれ、常に心地いい風が吹き渡り、子供たちははしゃぎ回る。 元から童心を忘れていない一人の生徒は特に。 「すっげーの見つけた、ほら!!」 「うわぁ! さすがリイチ!」 「きゃー! こっち来んな!」 「鈴宮君、さすがにアオダイショウは危険です」 友達が目を輝かせ、女子が喚く中、担任の清見先生が太い蛇を嬉しそうに両手で掴む鈴宮に注意している。 ああ、いつにもましてあんなにキラキラ輝いて、なんて可愛いんだろう。 「あ、先生! 日向先生~!!」 満面キラキラ笑顔の鈴宮が豆柴のように走り寄ってくる。 こちらも笑顔で抱き止めてやりたいところだが、鈴宮、さすがにその蛇は途中で放してきてくれないか……。 午後は清掃兼山登り、晩御飯は野外炊事棟でカレーライス作り、食後は天体観測。 ぎっしり予定の詰まった一日、特に問題もなく、無事終えることができた。 「今日はお疲れ様です、日向先生」 大浴場から戻ってきた俺に同室の清見先生が労いの声をかけてくる。 二段ベッドのある小ぢんまりした部屋、下のベッドを宛がわれた俺はそこに腰掛けた。 「明日の川魚手掴みナマ体験も頑張りましょうね。では、お風呂頂いてきますので」 今日一晩清見先生と一緒なのか。 なんか怖いな……。 着替えを持った清見先生が部屋を後にし、一息ついた俺はベッドにごろんと上半身だけ横にさせた。 明日は野鳥観察に草花スケッチ、で、川魚手掴みナマ体験か。 今日みたいに問題なく進めばいいなぁ。 鈴宮、可愛かったなぁ……。 いつにもましてキラキラだった鈴宮を思い出しつつ、俺は、うとうと。 普段の倍以上に疲れていたから意識はあっという間に遠ざかった。 コンコン 気がつけば聞こえていたノック。 疲れて、眠い俺は、非常識ながらも無視を決め込もうとした。 きっと清見先生が戻ってきたんだろう。 教頭先生や隣室の女性先生方だったらマズイかな。 キィィィ 次にドアの開かれる音が聞こえて、ああ、やっぱり清見先生だったと一安心した。 いや、清見先生を前にしてだらしなく寝ているのも実際のところどうかと思うが。 うん、今日だけは仕方ない、今回最年少教師の俺は皆さんに気を遣ってへろへろなんだ。 「せーんせ」 その声が聞こえた瞬間、眠気が一発で吹っ飛んだ。 目を開くなり腹に響いた衝撃。 「うっ」 「枕投げしよ!」 なんと大部屋でクラスメートと一緒に寝ているはずの鈴宮が俺の腹に乗っかっているではないか。 「す、鈴宮」 「みんなすぐ寝ちゃってつまんねーから来ちゃった!」 「しーっ」 笑顔で平然と大声を出す鈴宮に人差し指を立て、声を小さくするよう必死でアピールした。 すると鈴宮はクスクス笑った。 乾ききっていない髪の濡れた毛先が滑々とした頬にくっついている。 グミさながらに瑞々しい唇はいつになく色味が強くなっていて。 「先生、お風呂上がり? お腹あったかい」 わざとらしいくらいの小声になって話しかけてくる鈴宮。 夜なのにキラキラしている。 いったい何の魔法だよ、これは……。 しかもさっきから鈴宮の尻が俺の股間に擦れて、俺、やばいです、神様仏様親父お袋。 我慢できずに俺は鈴宮にキスした。 甘い果実をつい夢中で味わう。 笑っていた鈴宮はゆっくり表情を変えていった。 次第に頬を紅潮させ、自然と目を瞑り、素直に身を委ねてくる。 「んぅ……は、ふ……」 口内でこもるため息を耳にしていたら、薄目がちに幼い色香を見上げていたら。 益々止まらなくなった。 さっきまでの眠気はどこへやら。 俺に乗っかったままの小さな鈴宮の下半身に手を伸ばし、柔らかな丸い尻を半ズボン越しに撫でる。 すると鈴宮はふと顔を離した。 唾液の糸を垂らしたまま、あどけない眼差しで尋ねてくる。 「するの?」 「……鈴宮はどうしたい?」 「んー」 もし鈴宮が断るならば俺は通路にあるトイレで一人寂しくこっそり、となる。 仕方がない。 鈴宮は俺の腹の上でちょっとだけ考えて、そして、潜めた声で無邪気に答えた。 「先生、しよ?」

ともだちにシェアしよう!