384 / 596

女装男子はお嫌いですか?-2

姫川は緊張に震えながらも潤んだ双眸を逸らさずに、じっと、矢庭に硬直した安曇野を見つめた。 淡い香りのするリップクリームに彩られた唇が照明を落とした薄暗い室内でやたら眩しく見えた。 「……先生、ボクね」 下着も女の子モノ、つけてるんです。 そう言って、片方の膝をソファに乗り上がらせた姫川は、短いスカートの裾を両手で掴んだ。 強張る安曇野の視線の先で徐々にスカートが捲り上げられていく。 「……に……似合いますか?」 薄い水色のレースがついたランジェリーは、当然、膨らみを持っていて。 「これは……家族にも秘密で……先生にだけ、ボク、教えるの……」 姫川は真っ赤になっていた。 大きな双眸からは今にも涙が零れ落ちそうだ。 それでも、姫川は、今しかないと思って、精一杯、言い寄る。 自分が通う学校の、三十代の、一月生まれの、身長百七十九センチの、好きな食べ物が和風ハンバーグの、嫌いな食べ物が酢の物の、体育教師の安曇野に。 「……姫川」 姫川はおずおずと安曇野の手をとると、その大きな手を、自分の股間へ持っていった。 「これがなかったら……先生、付き合って……くれたかな」 姫川は悲しげに笑った。 限界に達した涙が頬に落ちる。 安曇野は首を左右に振った。 「……あっても、構わない……姫川」 宛がうだけだった掌が不意に動く。 力を帯びて、そっと、刺激してくる。 「ぁっ」 やんわりと揉み込まれて姫川は内腿を過敏に痙攣させた。 口元に手を当てて、涙目で、安曇野を窺う。 「先生……」 次に、股座に差し込まれた手で双球を転がすように揉まれ、唇をきゅっと閉じ、体中を駆け抜けるゾクゾクとした甘い感覚に耐えた。 次に、キスをされた。 リップクリームの香料が伴う唇を舐められ、上下を抉じ開けて、中に舌先がするりと入ってくる。 「ん……ぅ」 途端に力が抜けて姫川は安曇野にもたれかかった。 安曇野は初心な唇を唾液で隈なく潤しながら、姫川を、前後から愛撫する。 背後から回した手でランジェリー越しに双丘を撫で回し、前から、外見とは矛盾して股間に根づく性器を、薄い布越しにじっくりと擦った。 「ん……っ気持ちいい、先生……もっと触って……? オチンチン、触ってほしいの……」 チュクチュクと口腔を音立たせながら、安曇野は、姫川の願う通りに手を動かす。 間もなくしてランジェリーはじんわりと湿り気を帯び、テント状に布地を持ち上げ始めた。 「女の子の格好して、こんなに勃起するなんて、すごくやらしいんだな、姫川……?」 ぬるぬるした布地を撫でる安曇野にクスリと笑われて、姫川は、さらに頬を熱くした。 「ほら、こんなに染みつくって……いつもこんな風にオナニーしてるんじゃないだろうな?」 「や……っ違うもん……」 「本当か? こっそりトイレとかで、興奮して、してるんじゃないのか?」 「やだぁ……いじめないで、先生ぇ……」 優しい愛撫では物足りず、姫川は無意識に腰を揺らし、その都度生じる摩擦に「んんっ」と呻吟した。 「ほら、自分で腰振ってるじゃないか」 「やぁ、だって……先生だから、ボク……気持ちよくて……変なんだもん」 「ああ、俺も同じだよ」 手を掴まれて導かれた先に、姫川は、快感で濡らしていた双眸をさらに潤ませた。 「先生の、硬い……」 先生のオチンチン、硬くて熱くて、ビクビクしてる……。 これ、ほしいです、先生……。 ボクのなかにほしいの……。

ともだちにシェアしよう!