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カオスといっしょ-2

<ジェーン>は地球と同様に朝昼夜があった。 <ジェーン>にいると空腹を感じず、よって夕食をとることもなく、眠気はあるので、就寝するわけだが。 「いっしょに寝るの?」 用意されていた、地球で着ていたものと同じパジャマに着替えた菜々樹。 ワイシャツにチョッキにネクタイのままバカでかいベッドに潜り込んできた禍御守に首を傾げた。 「こんなに広いお城なのに」 「菜々樹のそば眠りたいです。菜々樹嫌ですか」 「嫌じゃないよ」 誰かと一緒に寝るなんて施設以来で何だか懐かしい。 「おやすみ、カオ君」 「おやすみなさい。菜々樹」 しかしこれがまた寝づらい。 禍御守が菜々樹を背中から抱きしめて一時も離そうとしないのだ。 カオ君は前から手を繋ぎたがったり、抱きしめたがったり、どうしてだか男のおれにキスまで……してこようとした。 <ジェーン>ってそういう風習があるのかな? 「菜々樹」 あ。 「カオ君……何度も言ってるけど、おれ、その、キスはちょっと」 「菜々樹。好きです」 「うん、おれもカオ君のこと好きだよ」 「ちがうちがう。違います」 「カオ君? どうしたの?」 「禍御守は菜々樹を。菜々樹。愛してます。好き。です。愛してます。菜々樹。菜々樹。禍御守は。菜々樹を……」 ぼふん! 「えっ」 まるで分身の術みたいに菜々樹の目の前で禍御守が……二つに分裂した。 二番目の禍御守がびっくりしている菜々樹ににんまり笑いかける。 「カオ君は忍者なの? <ジェーン>って忍者の星なの?」 「禍御守は忍者違います」 「あーあ。見てらんなイ」 呆気にとられている菜々樹に二番目の禍御守が説明する。 「禍御守は興奮すると分裂すんだヨ、微生物みたいで面白いデショ」 びっくりして起き上がっていた菜々樹をベッドに押し倒して真上に覆い被さって。 ぱちくりしている双眸を間近に覗き込むと愉しげに囁いて。 「わっ」 菜々樹はおふざけ禍御守にちゅっと頬にキスされた。 すると。 ぼふん!ぼふん!ぼふん! さらに禍御守が分裂した。 「菜々樹ぃ、禍御守にもちゅーしてほしいなぁ!」 「……ぐすん……禍御守も……ほしい」 「…………」 ごきげん禍御守と泣き虫禍御守、その後ろにいる四番目の禍御守。 「あの世界は菜々樹に相応しくない」 あ。 このカオ君だ。 あのとき、おれの部屋にいたみんなを……。 「戻るのは許さない」 dark禍御守の言葉におふざけ禍御守とごきげん禍御守はやれやれまたかと呆れた風にため息を、泣き虫禍御守はビクビクしている。 元の禍御守はただ黙って自分の分身達を見つめ、物珍しそうにきょろきょろしている菜々樹へ最終的に視線を据えた。 「菜々樹」 「すごい、みんないっしょだね、五つ子みたい」 「禍御守より地球帰りたいですか」 「え?」

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