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淫魔スクリームナイト/しょた×青年淫魔/しょたおに

雷鳴轟く嵐の夜。 「怖いよぉ……」 高級住宅地において最も広大な敷地を誇る七神(なながみ)邸。 洋風な佇まいのお屋敷奥で末息子の(かおる)クンは羽根布団を頭からかぶってガタガタ震えていた。 人一倍怖がりな馨クン。 こういう夜に限って学校で聞いた怖い話がやたら脳裏に蘇ってくる。 マスクを外したら口が裂けていた女の人など、人の顔をしたワンコなど、徐々に迫りくるメリーさんなど……。 「わぁぁん……怖ぃぃ……」 嵐の夜だといつにもましてやたら恐ろしく感じられる。 庭に立派に聳える樹木の枝が風に煽られ、出窓に当たってコツコツ音を立て、そんな音にさえビクリと身を竦ませて。 天蓋つきの瀟洒なベッドでガタガタ怯えるそんな馨クンの元へ。 彼はそっと恭しくやってきた。 「馨おぼっちゃま、お休みになられましたか……?」 屋敷の使用人の坩寧(るね)だ。 濡れたような漆黒の髪に冴え冴えと整った顔立ち、眼鏡をかけ、白と黒で統一された堅苦しい給仕服を細身の肢体で卒なく着こなしている。 「あー。るねぇ……」 お布団の下から顔を覗かせた馨クンに坩寧は優しげに微笑みかけた。 手にしていたランタン型のランプをサイドテーブルに下ろし、ベッドの端にギシ、と腰かけて尽くすべき小さな御主人様の頭を撫でる。 家族よりもお友達よりも一番好きな坩寧に馨クンは甘えた。 お布団の中から這いずり出ると端整な使用人にぎゅっと抱きついた。 「怖かったよぉ」 「よしよし。坩寧が来ましたからね。もう大丈夫ですよ」 「ぅん」 スリスリ擦り寄ってくる馨クンを、それはそれは愛情深い眼差しで見下ろして、坩寧は……舌なめずり。 「本当に可愛らしくて、美味しそうな、おぼっちゃま」 「ぇっ」 今、るね、なんて言ったの? おいしそう、って言ったの? 坩寧は人ではなかった。 人に化けた淫魔であった。 選り好みして育ちと見た目のいい純潔男児の処女穴ばかりを狙うショタコン淫魔だった。 「おぼっちゃま。坩寧は人間ではありません」 嵐の夜に馨クンの目の前で本性を現した坩寧。 堅苦しい給仕服から、ぼっっふん、フルジップアップの長袖タイトかつ極端に丈が短いトップスでヘソどころか腰の括れモロ丸出し、ぴったりテラテラなローライズレザーパンツ、上下黒ボンテージ風となって。 女王様が履いていそうなピンハイヒールでふかふか絨毯を踏みしめて。 まっかなルージュを塗りたくったかのような鮮やか唇を艶めかしい舌先でぺろりと潤し。 革手袋に包まれた指先で特に変化なしの眼鏡をくいっとかけ直す。 側頭部左右からカーブを描いてくるんと生えた山羊めいた角、背中からバサリと生えた翼。 「この通り、淫魔でございます」 さぁ、おぼっちゃま、坩寧が貴方の処女を美味しく頂いて差し上げますね? 何せ人一倍怖がりでいらっしゃいますから、ンフフ、おもらし、されちゃうかもですけど。 「わぁぁ……るね、すっごい、えっちなカッコぉ……すごぉぃ……」 あら?

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